「自社の一番熱狂的なファン」は社員自身。“突き抜けたブランド”の実現に向けて、社員のエンゲージメントを高め最高のチームビルディングを目指す。
コーヒー・紅茶や食品材料、機器類の加工・販売を手がけるほか、県内各地に直営店を複数展開。創業50年をこえる老舗外食卸会社、株式会社鈴木コーヒー。時代が急速に変化していく中、従来の「モノ売り」から「コト売り」へ脱却を図り、今後は場や空間も含めたライフスタイルのプロデュース力が重要になってくると三代目の現社長は感じていました。そこで、組織のリ・デザインを行うため、自社の進む方向性や指針を強烈に打ち出し、チーム一丸となるための意識改革を決意。社員の個性を生かしたチームビルディングに取り組むため、全社でストレングスファインダーを活用したインナーブランディングを行うことになりました。
1.課題
コーヒー豆や食品材料、機器類の卸販売がメイン業務であった鈴木コーヒー。現代表取締役の佐藤俊輔社長が10年前に帰郷し、職務についた頃はバリバリの販売営業会社でした。しかし、時代の変化スピードはどんどん速くなる中、顧客の飲食店へ商品提案はもちろんのこと、場や空間も含めたプロデュース力が重要となってくると考えていました。「モノ」を売る時代から「コト」を売る時代へ。早めの段階から、社員の意識改革を行わなければならないと考えていました。また、社員の多様な価値観を生かし、組織として最大の生産性向上に向けて、社員一人ひとりの能力開発、相互理解、チームワーク向上に向けた取り組みを検討。チームコミュニケーションの最適化を実現したいというご要望をいただきました。2.解決の方向性
当初は企業案内を制作して欲しいとご依頼をいただいていました。しかし、佐藤社長のお考えを知っていた当社では、会社をただ紹介するのではなく、“鈴木コーヒーらしさ”があふれる「ブランドブック」をご提案しました。ブランドブックは独自の考えを強く表明するツールです。そのメッセージは外部だけでなく、社内のメンバーにも自社の価値や事業への想いを伝えられるチャンスです。まずはブランドブックの作成を手掛け、次に共通言語づくりを行なうことをお薦めしました。また、チームワーク向上やコミュニケーションの最適化においては、当社が人材育成やチームビルディングに活用している「ストレングスファインダー」研修をご提案。社員の才能を言語化して共有することで、お互いの考えや行動を理解し合い、業務連携を取りやすくなります。また、ストレングスファインダーを活用して強みを生かし合い、弱みを補完し合う関係性をつくりあげることで、自己肯定感や社内での心理的安全性、エンゲージメントの高い組織になります。自社への愛着、仕事へのやりがいを感じ、定着率が向上します。行った活動
- 企業マインド再整理とアウトプット
- ブランドブックの作成
- ストレングスファインダー全社員研修
- ストレングスマネージャー実践研修3日間
- ストレングスファインダー振り返り研修
BEFORE
- モノを売る時代からコトを売る時代へ。
- クリエイティブ発想を持った社員の育成が急務。
- 世代交代が迫っており、社員教育の必要性があった。
AFTER
- 自社商品や自社サービスを次々と形にできる人材が育ってきた。
- 企業理念に共感する若手の台頭。大卒採用にも次々と結果が出てきている。
- 自身の働きがいを意識した社員のサービスが向上し、ファンの増加につながっている。
企業の歴史・考え・姿勢を表現するブランドブック。 顧客・社員をファンにするインナービルディングの土壌を確立
ブランドブック作成にあたり、大切にしたのは“鈴木コーヒーらしさ”を表現することです。2代目の現会長、3代目の現社長のインタビューを行い、企業の想いを過去・現在・未来から振り返り、再定義を行い見える化しました。「CRAZY BRANDING」の掛け声のもと、ちょっと「変」な捨てられないブランドブックを作成。遊び心を大切にする企業姿勢を、いたるところで表現しました。通常、ページ数の少ない本は体裁を整えるのが王道の作り方。例えばデザインテイスト、マージン、フォントなど、極力統一感を持たせてまとまりを出すのが一般的です。しかし、鈴木コーヒーが提案する「コーヒーはライフスタイル」だという考えに表されるような、「人それぞれ自由でいい」「一人ひとりが違っていていい」という自由なマインドを形にするため、あえてバラバラに組み、規定概念にとらわれない構成にしました。まさにCRAZYな1冊であり、ここにまとめられている考え、表現されている言葉は「共通言語」になり、社員に共有・浸透しました。自分たちがこれまでやってきたこと、今取り組んでいることと、その成果や叶えたいビジョンを再定義することができました。
ストレングスファインダーで社員の個性を伸ばしたい。 マネージャー研修で活用方法を学び、定着率・生産性向上を目指す
企業理念に「幸福の追求」を掲げている鈴木コーヒー。社員のエンゲージメントを高め、顧客エンゲージメントを高めることを大切にしています。エンゲージメント向上では、「ストレングスファインダー」を活用。社員の強みや得意なところを生かし合う関係性を構築するために、全社的に研修を導入し、自分の才能とその活用方法の理解、他者理解を行いました。Webテストによって、自分の得意な才能TOP5が言語化され、自身の感情や思考、行動パターンが明らかになります。普段仕事をしている中で、お互いが理解できなかった考えや受け入れにくかった言動の理由が分かり、納得感とともに、お互いを生かし合う協力姿勢が生まれました。また、社長と幹部の2名でマネージャー研修を受講。ストレングスファインダーの実践方法やコーチングスキルを身につけ、現場での活用を目指します。【ストレングスファインダー】 一人ひとりの「才能」を見える化する人材アセスメントツール。個人の強み・チームの強みを理解し、それに基づいたアプローチをとることで、生産性やエンゲージメントの向上を図る。
【コーチング】 クライアントが抱える課題や目標達成を支援するコーチングでは、指示や一方的な指導とは異なり、クライアントが自ら考え、やることを決めて実行することを促すため、会話や質問を重ねながら、思考の整理や決断を助ける。実行者はあくまでもクライアント。車の助手席に座り、ドライバーを手助けするような感覚で、目的を達成できるようサポートする技術。
【プロファイル】 ストレングスファインダーの資質データを参考に、人物像や傾向分析を行なう。思考、行動、感情のパターン、強み・弱みからモチベーションのありかを仮定し、コミュニケーションやコーチングの事前準備に活用する。
【チームビルディング講座】 最高のチームを築くための原則やチームのエンゲージメントが高まるポイントを座学とワークによって学ぶ。ストレングスファインダーを活用した相互理解や適材適所のプランニング、チーム分析と課題の明確化、アクションプランを考える。
【業務分担・適材適所の検討】 業務の棚卸しや連携方法を検討するため、チームメンバーの資質や傾向、経験を考慮して適材適所を考える。強み・弱み、得意・不得意を生かし合い、業務の適材適所による配置を考える。
マネージャー研修終了後は、2つの取り組みを実行。佐藤社長自ら、社員コーチングを実施したり、社内研修を企画しました。約1年前に実施した「ストレングスファインダー」社員研修の参加者を再び集め、振り返り講座を開催。基礎知識の振り返りとともにステップアップしたワークを取り入れました。資質を深めるディープサーベイや、資質の活用を過去の体験と紐付ける「人生曲線」などのワークを通し、自身の成功体験やこれまでの人生でどのように資質を活用してきたかを棚卸し。強みを認識するだけでなく、強みを発揮する再現性を高めました。社員からは、「こんな機会がなかったら、自分自身をこんなに見つめることはなかった」など、嬉しい声が多数あがりました。改めてストレングスファインダーに触れたことで新たな気付きや発見につながったり、社員同士の相互理解が深まったりと、コミュニケーションが活性化しました。
得られた成果
誰が見ても記憶に残るブランドブックが完成しました。顧客にも社員にも自社の歴史・考え方・姿勢を打ち出すことができました。初回に作成したブランドブックは大好評。その後、情報をアップデートした新バージョンに更新されました。表現された考えは、内部に共通言語を生み、インナーブランディングの土壌をつくりました。加えて、ストレングスファインダーの活用によって、社員が自身や同僚の才能を理解し、生かし合う共通認識や協力姿勢が生まれました。「共通言語」ができ、コミュニケーションを円滑化。業務生産性・コミュニケーションの向上に繋がりました。社内でコーチングを実施できるようになり、ストレングスファインダーの活用や定着化に向けた体制ができました。その成果として、日々のコミュニケーションや会議、面談に活用していくことで自走力の高いチームができています。円滑なコミュニケーションや相互理解は連帯感を生み、強いつながりをもたせます。自社や仕事に愛着を感じ、定着率も高まっています。これからも多くのファンを魅了し、生産性を最大化させ、“突き抜けたブランド”を実現していくことでしょう。株式会社鈴木コーヒー
〒950-0072 新潟市中央区竜が島1丁目4番4号
https://suzukicoffee.co.jp/
※記事内容は取材当時のものです