ともに楽しみ、ともに戦い続けたい。先輩×若手デザイナーの成長記録
こんにちは!広報担当のきらです。
みなさんは、新しい会社に入社するときにどんなことが気になりますか? とくに新卒入社の場合は「どんな人と働くのか?」、そして「どんなふうに成長していけるのか?」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2023年に新卒入社したデザイナーの杉山 まゆみさんと、上長を務めるアートディレクターの白井 豊子さんに対談インタビューを実施!
アドハウスパブリックの研修・教育体制や、先輩との関係性について詳しく聞いてみました。
メンバーの成長を支える、毎日の“振り返り”
ー まゆちゃんは今年4月に入社して約半年経ちましたが、入社前と入社後で会社や仕事に対する印象の変化はありましたか?
まゆ:ほとんど印象は変わってないですね。入社前にWebサイト見たとき、いろんなものを作ってる会社だなと思ってたんです。入社して先輩たちを見ていると、ロゴとかパッケージとかポスターとか、本当にいろんなものを作ってるので、イメージ通りだなって思います。
あとお仕事の内容に関しては、最初は文字中心のチラシとか基礎的なものだけなのかなと思ってたけど、全然そんなことはなかったです。社内コンペで『にいがた総おどり』のメインビジュアルを先輩と並んでデザインしたりとか、新人でも、ちゃんと自分の力を活かして1人のデザイナーとしてやらせてもらえるんだなって思いました。
ー 入社後の研修では、どんなことを教えてもらいましたか?
まゆ:入社してすぐ『基礎講座』っていうのを受けました。約2週間かけて、全部で16コマくらいの講座をいろんな先輩方から教えてもらいました。
まずは社内ルールから始まり、ビジネスマナーや電話対応、社長から会社の成り立ちや歴史を聞くオリエンテーション。あとは制作に必要なデザインソフトの使い方、フォントと文字組の話、印刷とWebの話、製本のやり方とか、いろんな講座がありました。
講座の中で課題も出されるんです。例えば、Illustratorのパスを使ったトレースとか、Photoshopのレタッチの課題とか。そういう課題をやりながら、いろいろ覚えていきました。
とよこ:3年前、本格的に新卒採用をはじめたタイミングで、今の『基礎講座』を作ったんです。どのくらいできるのかっていう技術確認もそうなんだけど、ほかの先輩たちとのコミュニケーションの機会にもしたくて。
例えば、入社すると基本的には上長とのやり取りになるんだけど、ほかのメンバーの人柄も知っておくことでいつでも誰とでも話しやすい状況を作っておく。そういうコミュニケーションの場も大事だなって思うんです。
内容はどれも基礎的だけど、一度触れておくと実践で必要になったときに「この人に聞けばいいんだ」ってことも分かるし。ちょっとでも共通の知識があると、あとでその人に聞きやすくなるんですよね。
ー 普段の業務の振り返りなどは、どんなことをしていますか?
まゆ:1日の終わりには、口頭でスケジュールの確認をします。今日やったこと、明日やること、週末には来週の予定とか、こんなふうにやっていきますっていうことを共有します。
あとは、『振り返りシート』っていうのを毎日書きます。その日の終わりに、やったことやそれに対して思ったこと・反省を書いて、上長のとよこさんに送ります。それに対して、とよこさんがフィードバックを書いてくださるので、翌日に確認してから仕事をスタートするっていう流れを繰り返してますね。仕事のことだけじゃなくて、雑談もよく書きます。笑
とよこ:そうだね、今日何食べたとか土日何するとかね。笑 気になったことを何でも書いてもらってますね。
文章よりも直接話して振り返る方が楽という人もいると思うんですけど、会話だとその場の勢いでしか言葉が出てこないこともあると思うので、文字にしてちゃんと飲み込む作業が必要だと思うんです。その場で流されずに「自分は今日何したっけ?」「何を学んだっけ?」って振り返る時間を作って、「自分はどう思ったか、どう感じたか」まで言葉にすると、ちゃんと体に染み込むのかなって。
だから、できれば忙しいときほど書いた方が良かったりするんですよ。忙しいと、せっかく覚えたことも流れちゃうから。それに、私もバタバタしてて質問できない状況もあるだろうし、あとから「これ聞きたかった」って思い出すこともあるかなって。そういう気になったことをお互いに、落ち着いて振り返りながらやり取りできるので、私も助かってます。
はじめはこれも、緊張するんだよね。自分の気持ちを出す、自分の言葉にするっていうのが。まゆは、いつもいっぱい書いてくれるよね。笑
まゆ:そうですね。もともと、その場で話すのが得意じゃないというか、すごく考えながら話す方なんです。だから、文章の場合は自分のペースで考えて出すことができるので、ありがたいなって。あと、自分が思ったことを自分の中だけで完結しないで、ちゃんと外からの意見を客観的に聞けるのも、すごく嬉しいです。
とよこ:まゆはね、とっても真面目で素直なんですよ。「反省です」ばっかり書くから、私も「自信を持って!」ばっかりいつも書いてるよね。笑
あとは、書いてもらった内容が少しずれていたときに「こうだよ」って書くと、次の日にそれを読んでちゃんと考えて「こういうことですか」って聞いてくれたりもするから、助かってます。
文章を読んだだけだと全て理解できないところもあると思うんです。それをちゃんと確認してくれるので助かるし、ちゃんと飲み込もうとしてくれる姿勢がこちらも嬉しいので、より一生懸命お返事しますね。
私も伝え忘れることもあるし、ずっと見ていられるわけじゃないから「こんなこと思ってたんだ」っていう発見も多いんです。知らないところで実は大変なことがあったんだとか、実はこんなすごい仕事やってたんだねとか。そういうことも振り返りを通して知ることができるので、成長を目に見えて感じることができて良いなって思います。
ー 『振り返りシート』は、入社からどのくらいの期間やっていますか?
とよこ:1年目は毎日やってもらいます。それ以降も、人によっては続けたりしますね。りかね(入社2年目)は1年間やったあと『振り返りシート』はやめて、1日の終わりにスケジュールの共有とか何かあったときに報告するっていう形に切り替えました。
なお(入社3年目)は2年目までずっと書いてました。今年の初めまで、またポツポツ書いてましたね。何かミスしてしまったときに「自分の戒めのために書きます!」みたいな感じで、2日分ぐらいの長文が来たりとかもしましたね。笑
だから2年目以降は、その人に合う合わないによって切り替えはしてます。まゆが来年「私、もうバンバン喋ります!」みたいなタイプになってたらそれはそれでいいし。笑
『振り返りシート』は、自分のために書いてほしいんですよね。こちらも、もちろん知らなきゃいけないこともあるし管理の目的もあるんですけど、自分の成長とか一歩一歩を大事にしていくために、書いてほしい。それが本人にとって負担になるとか、それ以外の方法がやりやすいのであれば、切り替える感じですね。
とにかく経験!アドハウスパブリック流の学び方
ー まゆちゃんが入社して、はじめて取り組んだデザインのお仕事は何でしたか?
まゆ:本格的に一からデザインをさせてもらったのは、『にいがた総おどり』のメインビジュアルですね。
ー はじめは緊張もあったと思いますが、どんな想いで取り組みましたか?
まゆ:社内コンペで先輩たちと並んでデザイン案を考えたんですが、まず「安心した」っていうのが一番でしたね。正直、最初はちょっと怖さもあったんです。学生時代は自分が満足できるものを作ればそれで良かったけど、今回はお客さまがいて、その人に納得してもらう必要があって。「そこに到達できるものを作れるのかな?」っていう不安が大きかったんです。
でも実際に取り組んでみて、自分でも満足できるし「このコンセプトと表現だったらお客さまにも喜んでもらえる」っていうものが作れたので、良かったなって思います。
あと「どうしたらお客さまに満足してもらえるかな?」っていうのを、先輩からフィードバックをもらいながら考えていきました。特によく覚えてるのは、柳橋さんから「違和感と引っかかりがないと見てもらえない」って言われたことです。自分が満足すればいいってところで留まらずに、見た人に足を止めてもらうことまで考えて作るのが大事なんだなって思いました。
結果的に私の案は採用にはならなかったんですけど「自分で考えて、教えてもらったことを消化して、それを繰り返していけば自分にもできるんだ。デザイナーでいていいんだ」って実感できたお仕事でもありましたね。
ー とよこさんは、若手メンバーにどんな仕事を任せるかというのは、どうやって決めていますか?
とよこ:2つあるんですけど。「これだったら今の力量でやれるよね」っていうレベルに合わせた任せ方が1つ。もう1つは、せっかくアドハウスパブリックに来てこんなに楽しい仕事をしてるんだから、一緒に楽しんでもらいたいっていう任せ方です。
コツコツ育ててある程度できるようになるっていうのは、たぶん当たり前のことで。それだけじゃなくて、「楽しい」っていう体験を通して、その中でどれだけのことを考えなきゃいけないのか・どんな準備がいるのかを知ってほしいんですよ。
はじめは気づかないことも、いっぱいあると思うんです。自分の中ではすごくやり切れたって思っていたものが、実は通用しないとか。そういう経験をすると、自ずと自分に何が足りないのか気づいてくると思うんです。自分がやりたいことをやるためには、基礎が必要なんだなって立ち戻ったりとか。そういうことを自分で感じ取らないと土台ができないと思うから、いろんなことを任せたいなとは思ってます。
あとは「これがやりたい!」っていうことはどんどん言ってもらうとチャンスも膨らむので、本人発信ももちろん大事ですね。
ー とよこさんをはじめ、会社全体としてそういう方針なんでしょうか?
とよこ:そうですね。経験の場をできるだけ用意してあげたいっていうのは、私を含めた先輩たちみんなの共通の想いです。
自分の表現を楽しみながらも「これだと足りない」「なんか違う」「もっとやらなきゃ」って気づくことが大事だと思うんですよね。うちの先輩たちはみんな優しいけど、「これが足りないよね」「ここ考えられていないね」っていう助言はしっかりしてくれるんですよ。やっぱり、プロとしていいものを作らないといけないから。
そうすると、「自分の中では良かったのにどうしたらいいんだろう」って迷路にも入るんです。「なんか分かるけど、どうしたらいいか分からない」「正解が見えない」みたいな。でも、そういうもがく経験をいっぱいしていくことで伸びていくし、そこを乗り越えることで確実にレベルが上がっていくと思います。
「これがやりたい」「こんなのがワクワクする」とか、「挑戦したい、成長したい」っていう可能性の塊みたいな子たちが入ってくるじゃないですか。その中で、どうすればみんなが仕事としてデザインを楽しみながら、その大変さを受け止めて走っていけるかなって考えたときに、“とにかくやってみる” っていう実践ベースの教育が、この会社流なのかなと思います。
同じ仲間として一緒に楽しみ、一緒に戦いたい
ー とよこさんは、若手デザイナーを育てる上でどんなことに気をつけていますか?
とよこ:デザインを好きでいてほしいってことだけですね。入社したときと変わらず、ワクワクしながらこの仕事をちゃんと楽しめてるかどうか。
楽しんで頑張ってる姿が、ただただ嬉しいんですよね。自分もずっと楽しいから、後輩っていうよりも同じ仲間として一緒に楽しみながら仕事していきたいなって。みんなにも、まゆにも、自分にしかない武器があって、会社としても強くなれる仲間がどんどん増えてるなって。そういう喜びが毎年繰り返されてる感じなんです。それを、みんなにも同じように感じてもらいたいなとは思ってます。
前に社長から言われてすごく心に響いたのは「役割で人を探すんじゃなくて、一緒に仕事したい人を探そう」って言葉でした。“デザイナーとして働いてくれる人” を採用するんじゃなくて、“この人と一緒に働きたいっていう仲間” を採用するっていう。一緒に頑張って、一緒に楽しんで、新しいデザインができる。そこをメンバーとして大事にしていきたいって思います。
ー 会社の体制として、若手メンバーを育てるために取り組んでいることはありますか?
とよこ:ひとりだと気づけない部分もあるので、若手メンバーのことを先輩同士で話す機会を作っています。
どうしても若手のときって、頼まれたことを断れない・相談できないっていう場面もあると思うんですよ。遠慮しちゃったり、これは自分がやらなきゃって抱え込んで逃げ場がないと思ったり。そういう状況を見つけないとなとは思います。
だから定期的にADのみんなで集まって、若手メンバーについて話すんです。できるようになったこととか、今度こういう仕事やってほしいねって話とか、最近大変そうにしてるね、元気ないねとか。それぞれが気づいたことや把握したことを先輩同士で話して。ちょっとフォローしようかとか、逆にこういう仕事にチャレンジしてもらおうとか、みんなで考えるようにしてます。
ー アドハウスパブリックのみんなは先輩後輩の仲も良いですが、仕事以外のコミュニケーションで気をつけてることはありますか?
とよこ:プライベートでも、なるべく頼ってほしいなっていうのはあるんですよ。とくに健康管理とかは気にはなるかな。体調が悪くてもきっと無理しちゃうと思うし、どうしていいか判断がつかないこともあると思うので、そういうときは「何とかするから連絡してね」って言ってます。
あとは、若手メンバー同士で繋がってくれてるんですよね。それがすごく助かるし頼もしいなと。休みの日もね、みんなで出かけたりしてるよね。
まゆ:そうですね、先週末も先輩たちと4人(まさる・なお・りかね・まゆ)でお出かけしてきました! 仕事以外で気軽に話せる先輩がいるのは、すごく嬉しいです。定時が終わった頃に雑談タイムみたいなのが開催されたりもして、すごく楽しいですね。昨日もお菓子の争奪戦をしたりしてました。笑
とよこ:まゆは、最初すっごい緊張してたもんね。カッチカチだったよね。笑
まゆ:そうですね。最初は『基礎講座』でしか話したことない先輩もいたし、すごい緊張してたんですけど。お昼休憩でご飯を食べながら話したりするようになって、少しずつ馴染めるようになりました。
ー とよこさんが、若手メンバーから刺激を受けていることはありますか?
とよこ:みんな本当に貪欲で「何でもやりたい!」っていう姿勢なんです。そこがいいなって。「負けたくないな」って気持ちもあるし、そういう人たちと働けるのがすごく楽しいです。
新卒採用をはじめて3年経つんですけど、この3年間で若手の成長段階を見てきて、若手のパワーってすごいなって実感してます。1年目は教える方がメインだったのが、2年目・3年目になってどんどん任せられる仕事が増えてるし、社内コンペで若手が先輩に勝ったりもする。そうやって仕事ができるようになってくると「こちらも支えられてるな」って仲間としての心強さがあって、「ここからだな」って思うんです。1人でやれるようになるところまでは、どうしても上長の立場として守る・育てるっていう気持ちがあるんだけど、そこを超えたらもう一緒に戦うメンバーなので。
どんどん新しい視点を取り入れてくれるので、逆に学ぶことも多いんですよね。若手の目線ってそのときしかない貴重なものだったりするから、毎回なるほどなってすごく勉強になりますね。これからの会社を作っていくのはきっとこの子たちだし。お互いの力を掛け合わせて、これからもっといいものが作っていけるんだろうなって、わくわくします。
ー まゆちゃんは、これからどんなふうに成長していきたいですか?
まゆ:会社としてこういう人がほしいとかじゃなくて、自分自身と働きたいって思ってもらえてるのは、すごく嬉しいです。その分「この仕事をお願いしたい」って選んでもらえるデザイナーになるのが理想です。会社の人にも、お客さまにも。私のデザインを見て「あれが良かったから、これもお願いしたい」って選んでもらえるようになりたいなって思いました。
ー まゆちゃんをはじめ、若手メンバーのみんなには、これからどんなふうに成長してほしいですか?
とよこ:さっきの社長の言葉のように、一緒に働きたい仲間として採用してるので、みんなの「こんなことがやりたい」って気持ちを大切にしたいなと思います。
例えばこの先、まゆがデザイン以外にすごくやりたいことができて、それで力を発揮できるとしたら、それでもいい。どの道を選んでも同じ仲間の力であることに変わりはないし、何かを作る楽しさとか熱量はきっと変わらないから。この子がどう自分の道を楽しんで、成長して、会社としてもそれがどんな力になっていくのかって考えると、楽しみですね。
デザイナーとしての可能性って、結局のところ自分次第だと思ってます。理想に到達できるかできないかって、自分の目指す視点とそれに伴う行動が必要になってくる。
アドハウスパブリックのメンバーはみんな、それを知ってる人たちだから、がむしゃらにその成長しようとしてる姿がすごく刺激になります。自分も頑張らなきゃなっていう気持ちにさせてもらってますね。頑張れる自分、もっといける自分。自分を信じて、成功するって信じて、どんどんやってほしいなって思います。
ちょっとくらい失敗したっていいんですよ。笑 ひたむきに頑張る姿を見ていたいし、自分もそうあり続けたい。そんなことを話して共感してくれる仲間がいるっていうのも、ただただ楽しいです!
白井 豊子(AD) / 杉山 まゆみ(D) / 吉楽 香菜子(取材・執筆)