成功するブランディングとは?②【ポジティブに事業推進できるチームづくり】
中小企業にこそブランディングが必要。そうは言っても手法・戦略はさまざまで、何から始めてどう進めたら良いのか分からず、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
ブランディングとは具体的に何をどう進めたら良いのか?押さえるべき手順を4つのポイントにまとめて、シリーズ記事としてお届けしています。
今回は2つ目のポイント【ポジティブに事業推進できるチームづくり】です。
成功するブランディングの4つのポイント
[1] ミッション・ビジョン・バリューの明確化 [2] ポジティブに事業推進できるチームづくり ★今回はこちら [3] 差別化された事業・サービスづくり [4] 自社の価値をすべて見える化するデザイン
「ブランディング」は全社で取り組む強化プロジェクト
「ブランディング」とひとことで言っても、取り組むべきことは多岐にわたります。
前回取り上げた【ミッション・ビジョン・バリューの明確化】に始まり、事業構築やサービス開発、営業・集客活動、各段階で必要となるツールやデザインの制作など。多くの場合、数ヶ月を要するプロジェクトになります。
ブランディングは、市場や環境の変化に応じてブラッシュアップしながら、会社全体で継続的に取り組む必要があります。
しかし、部署や役職などの立場、また人によっても考えや目指すところは異なるもの。「うちの会社もブランディングに取り組むぞ!」と意気込んでみたものの、社内の協力が得られずにプロジェクトが頓挫してしまった...という話をよく耳にします。
社員を巻き込んだ協力体制を築き、成果を出すためにはどうすればいいのか? そのポイントになるのが、ブランディングプロジェクトの推進チームづくりです。
ブランディング推進チームをつくる
既存事業の運営や日常業務と並行して、会社全体を巻き込み、ブランディングプロジェクトを成功させている企業の多くは「ブランディング推進チーム」を設置しています。
ブランディング推進チームが取り組むこと
◉ 自社らしい思想や強み・魅力を発掘し、コーポレートアイデンティティ(CI)を定義づけする ◉ 自社らしさを打ち出す事業開発の企画、実行 ◉ ブランディング活動の実行計画づくり ◉ 社員への告知、巻き込み計画、実行 ◉ デザインの方向性、ビジュアルアイデンティティ策定、PRツールの開発 ◉ PR活動実行
これらの活動を段階を追って取り組み、企画から実行・運営までを推進チームが先導します。
このチームをどのように構成し、どのように動かしていくか。ブランディングの成否を左右する大きな要因のひとつとなります。
ブランディングを成功させるチームの基本構成
ブランディングは部署を越えて会社全体で取り組む活動が多くなるため、チームメンバーは各部署から集めた方が後々の活動がスムーズに進みます。但し、必ずしもメンバー全員が各部署のトップである必要はありません。下記のようなチームを構成する上で適任と考えられる人材を集めます。◉ チーム構成1_リーダー
文字通り、チームに方向性を示し、先導する人です。決裁権を持ち、最終責任を持つ人になります。ブランディングを成功させるためには、リーダーの意識改革が必要になる場合もあります。
リーダーの意識改革リーダーの役割は方針を打ち出し決定していくことですが、誰しも必ず得意不得意があります。自分の苦手な部分を認め、周りの誰かに頼ることができるかどうか。リーダーがそうした姿勢を取ることができる企業ほど、ブランディングがうまく行っています。
「自分ひとりで全部やらなければ」「リーダーたるもの、リーダーらしく上に立たなければ」そう考えているリーダーの元では、大抵の場合チームがなかなか動きません。
「自分たちは信用されていない」「下に見られている」メンバーは何となくそう感じています。 それを見たリーダーは、「みんなやる気が無い。やっぱりできるのは自分だけだ」と捉えてしまう悪循環。これを断ち切らなければ、ブランディングは成功しません。
自分の役割とタイプを認識し、足りない部分は人の力を借りる。そのようにして、方針の打ち出しや決断ができれば、その人は立派なリーダーなのです。
◉ チーム構成2_チームに情報を行き渡らせ、進捗管理をする人
ブランディングプロジェクトは、各自が普段の仕事を抱えながら並行して取り組むことになります。つい後回しになったり、状況が把握しきれなくなったりしがちです。そこで重要な役割を果たすのが、このポジションの人。会議の議題づくり、議事録の作成と共有、決定した行動のリマインドなど、チームが動きやすくなるように号令をかけてもらいます。 社員と距離の近い人をこのポジションにつけると、プロジェクト全体の動きが良くなります。
◉ チーム構成3_各部署の代表者や専門知識を持ったキーマン
各部署を代表して話し合いに参加するメンバーです。アイデアを出す人・計画する人・実行する人…など、各自の個性を活かして積極的にディスカッションできる人が望ましく、必ずしも部署のトップでなくても構いません。それぞれの立場からの視点をもって、共に課題を解決していきます。話し合う内容によって必要があれば、専門知識を持ったキーマンにも参加してもらいましょう。
いざメンバーを集めてスタートしたものの、
「やる気のある人材が少なくて、思うように進まない…」
経営者や幹部層の方から、こういった声をよく聞きます。
部署横断で集まってもらった選りすぐりのメンバーのはずです。 本当に、やる気が無いのでしょうか。
実はここに良く起こりがちな勘違いと、推進チーム成功のポイントが隠れています。
推進チームが機能するために大切なこと
❶ 考えるための情報が共有されている
チームで話し合いをする際に、まず欠かせないのが事前の情報共有です。伝えたつもり、になっていないでしょうか。本来、考えることは誰もができるものです。やる気や参加意欲が足りないのではなく「考えるための情報が足りなくてわからない…」というケースが圧倒的に多く、情報の伝え方次第でメンバーの動きは大きく変わります。リーダーだけ、あるいは一部のメンバー間だけに情報が留まっていないか、確認してみましょう。
❷ 全体のゴールが共有されている
メンバー各自が異なる立場や考え方、個性をもって集まっています。それらを存分に発揮してもらうために欠かせないのが、全体のゴール共有。同じ目的を共有していることで、視点の違いや批判的な意見、ネガティブな声なども、より良いアイデアのための有益な材料となります。全体のゴールは何か。どんな行動をすれば、そのゴールに近づくことができるか。この観点をブレずに持つことで、生産性高く活動していくことが可能になります。
❸ コミュニケーションの基盤「心理的安全性」がある
ブランディング推進チームでは、会社全体に関わる大きな課題から日常の細かなことまで、必要なことを随時話し合い、活動方針を素早く決定し、実行に移していくことが重要です。その精度とスピードを左右するのがコミュニケーションの基盤、つまり「話せる関係性と環境」があるかどうか。メンバー全員が、自分の考えや感情について、安心して何でも言い合える状態にあるでしょうか。これを「心理的安全性」といい、チームに欠かせないものとされています。 ※心理的安全性について、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
❹ 成果よりも、まずは「関係の質」
推進チームとしては早く成果を見たいところではありますが、プロジェクトの初期段階ほど、時間をかけて丁寧にコミュニケーションを取っていく必要があります。社員全体のマインドの巻き込みを無視して行動だけを強制的に巻き込もうとした場合、最初は勢いで何とかなるかもしれませんが、その効果は長続きしません。組織に成功をもたらす基本的な考え方として知られる成功循環モデルの通り、まずは「関係の質」を高めることに注力しましょう。 ※組織の成功循環モデルについて、詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
最高のチームづくりを実現するために
ここまで、 ・ブランディング推進チームの基本構成 ・成功しているチームの特徴、大切なこと を見てきました。
全体を通して必要なことは、 ◉ リーダーも含めメンバーそれぞれが自分の得意不得意を認識すること ◉ お互いの個性を把握し、認め合うこと ◉ 相手に合った方法でコミュニケーションを取ること ◉ 共通の目的を持つこと ◉ 適材適所で取り組み、協力しながら進むこと これらによって、生産性の高い協働関係をつくることです。
どれも基本的なことでありながら、業務に追われる日常の中では案外忘れがちなことです。メンバーを適材適所に配置し、最高のチームワークを実現する方法として、弊社では「ストレングスファインダー」をおすすめしています。
ストレングスファインダー
Gallup社が開発した、自分の才能・仲間の才能が見える化するツール。Fortune 500(全米の売上トップ500社)の90%以上が採用している。占いや心理テストのようなものとは異なり、人材開発の調査・研究に基づいて開発された、非常に実用的なツール。性格や行動には必ず癖があり、人それぞれ全く異なる。その中でも特徴的な面を5つの単語で表し、その人の個性をわかりやすく表すもの。これにより、自分と他人は全然違うということ、そしてその違いを認め合うのが大切だということがよく分かるようになる。チーム内でお互いの個性を活かす方法を考えられるようになり、コミュニケーション力アップと生産性向上に効果的。
弊社では、ストレングスファインダーをはじめ効果的なチームビルディングや素早い事業開発を可能にする手法など、さまざまなメソッドを基にブランディング推進チームをサポートしています。
競合他社とは一線を画し、圧倒的な支持を集め、一目置かれる存在。すなわち「ブランド」として広く認知されることを目指して、今こそブランディングに取り組みませんか?