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成功するブランディングとは?①【ミッション・ビジョン・バリューの明確化】

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ブランディングとひとことで言っても、やるべきことや手法・戦略はさまざま。何から始めてどう進めたら良いのか分からずお悩みの方も多いのではないでしょうか。

特に中小企業の場合、限られた人員で既存事業や日常業務を回しつつ、並行してブランディングプロジェクトを進めていくのは大変です。間違ったやり方で現場に余計な負担がかかったり、そもそも社内からの反対意見が多すぎてプロジェクトが頓挫したりするようでは、かえって逆効果になります。

そこで、ブランディングとは具体的に何をどう進めたら良いのか?押さえるべき手順やポイントを全4回に分けてお伝えしていきます。

成功するブランディングの4つのポイント

[1] ミッション・ビジョン・バリューの明確化 ★今回はこちら [2] ポジティブに事業推進できるチームづくり [3] 差別化された事業・サービスづくり [4] 自社の価値をすべて見える化するデザイン




ミッション・ビジョン・バリューなど、会社全体の考え方や方針を表すものをコーポレート・アイデンティティ(以下、CI)といいます。社内の共通言語であり、また、社外に向けて企業姿勢を伝えるものにもなります。

呼び方はさまざまですが、主に下記の要素があります。

◉ ミッション・企業理念 [存在意義] ◉ ビジョン [目指す姿] ◉ バリュー・価値観 [大切にしていること] ◉ 行動指針 [社員の日々の行動や考え方]

「CI」はロゴやキャッチコピーのことだと思われがちですが、デザインで表現されるものに限らず、企業が発信するあらゆるものがCIになり得ます。それらを通して社内外に届けられるイメージや全体像が、どの場面でも一致して正しく伝わることがとても重要です。


企業には、社員、顧客やその他のステークホルダー、採用応募者などさまざまな人々が集まります。人を集め、つながりを強化し、活動を活発化させる。そのようにして企業活動を進める上で、重要な役割を果たすのがCIです。

CIの役割

自分のあり方を定義・明文化し、自分のルール・マインドの向上、スキル向上の基盤となるチームのあり方を定義・明文化し、チームのルール・マインドの向上、スキル向上、共通の指針となる対外(顧客・ステークホルダー・社員・協力者)へ自分たちの姿勢を伝える

  CIは社員一人ひとりに対して、またチームに対して影響を与えます。さらに、顧客をはじめとする社外の人々に向けて、さまざまなことを伝えます。

◉ ミッション・企業理念 自分たちが何者で、何のために存在し、何をやっているか、という存在意義を表し、その組織の基本となる指針のこと。そこに関わる人々にとって欠かせないものであり、環境変化や流行に左右されない不変のもの。

◉ ビジョン 自分たちが目指す姿、作りたい未来の状態を表したもの。理念やミッションを企業活動として展開した先にある未来。共通のビジョンを持つ人々はそこへ向かって力を結集し、強いチーム意識を持つ。

◉ バリュー・価値観 自分たちが一番重要だと考え、大切にしていること。組織風土の基盤になる。価値観・バリューを共有することで、社員はルールに縛られるのではなく、一人ひとりが権限と自主性を持って活動することができる。

◉ 行動指針 理念に基づき、ビジョンを実現する上で、社員が日々取るべき行動や持つべき考え方を具体的に示したもの。社内での判断基準が明確になるだけでなく、その組織の特色や社風が表れるので、採用応募者にとっての判断材料にもなる。


CIや企業文化が社員に浸透し、顧客から共感を得る企業は、強烈な輝きを世の中へ発していきます。他社とは一線を画し、圧倒的な支持を集め、一目置かれる存在。つまり「ブランド」として広く認知されている状態です。

スターバックス言わずと知れた世界規模のコーヒーチェーン。広告を打たないこと、接客マニュアル無しでも高い顧客満足でファンを集めていることなど、強いブランドの代表格として知られる。

経営理念であるミッションステートメントを経営戦略や組織目標、人材マネジメント、日常業務の中にまで浸透させるシステムを作り上げ、自律型で信頼関係の強い組織づくりを行っている。正社員・アルバイトを問わず全ての採用者に、最初の約1ヶ月間で計80時間の研修を実施。スターバックスが大切にしている価値や考え方の理解を深め、自主性を養う。

「人々の心を豊かで活力あるものにするために―  ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」 このミッションのために自分が何をすべきかを現場のパートナーが日々考えて動くことで、顧客の支持を集め、ミッションに共感する人材が集まり、品質・サービスが向上する、という好循環に。


ピクサー「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」などの大ヒット作品を世に送り出してきた映画スタジオ。

優秀なアニメーターやエンジニアの力によるところも大きいが、ピクサーが最も重視するのはストーリー。多様な文化や価値観の人々が共感し感動するストーリーであることが、愛される映画の鍵だとしている。それを支えるのが、多方面からフィードバックを集めてブラッシュアップを重ねる製作過程や、お互いの力を引き出し協力し合うチームワーク。部署を越えた自由な交流と連携によって個人の能力以上の力が発揮され、素晴らしいストーリーやキャラクター、最新の技術を駆使した美しい映像が生み出される。

「ピクサーの映画だから観たい」と映画スタジオの名前で作品が選ばれる、他に類を見ないブランド。


パタゴニアアウトドア用品・ウェアメーカー。創業者イヴォン・シュイナードの信念である「環境保護」と「品質追求」の思想が色濃く反映されている。

消費者はモノの消費量を減らし、企業は製造を減らすべき。そのために商品は高品質で長持ちし、可能な限りリサイクルできるものでなければ、と考えている。環境破壊を防ぐために正しい活動を実行し、他社にも顧客にも正しいことをするよう促すのが自分の仕事だ、と。自社製品の写真に「このジャケットを買わないで」という見出しをつけた広告を出すなど、時に極端すぎるとも思われる行動が注目されてきた。

勤務中にサーフィンに行っても良い、という企業文化でも知られる。サーフィンに限らず何かに打ち込み自分の能力を高めようとする人材や、アウトドアスポーツを楽しみ環境への意識が高い人材を集めるためである。

自社製品を実際に自分たちで使い品質を高めること、絶好の波が来た時に出かけられるよう仕事を工夫して行うこと、楽しんできて!と送り出せる仲間との関係性など、独特の企業文化が品質や生産性、チーム力を高め、熱狂的なファンを集めている。

  CIの役割と各要素が社内外の人々にどのような影響を与えるか、その事例を見てきました。3社それぞれの目指すところや手法は全く異なるものの、いずれも共通しているのはサービス・商品が魅力的なだけなく、CIがさまざまな形で浸透し、所属する人々を強く結びつけているということです。

そこでは単に「雰囲気が良い」「社員がやる気に満ちている」…というだけではなく、具体的な成果や利益が生み出されています。 詳しく見て行きましょう。


組織内でCIが上手く浸透すると、次のような効果が見られます。

変化の中でもブレない組織になる

信念や価値観を共有し、組織のベクトルを統一していく過程で、自分たち自身のことが明確になっていきます。自分たちは何者で、何のために存在し、何をやっているか。これを理解し、全員が納得・共感している組織は、市場や顧客ニーズの変化が目まぐるしい中でもブレずに対応していくことができます。

活力にあふれ、生産性の高い組織になる

人は、価値観と動機が結びついているものです。自分が大切にしたいと考えていることと日々の仕事の整合性が取れている時に、より大きなエネルギーが生まれ、パフォーマンスが高まります。各自の担当業務が全体の目標にどのように結びついているかを理解することで、組織全体に活力が生まれます。逆に、社員個人と組織の価値が結びついていない場合、個人プレーや争い、無関心な姿勢が蔓延する元となります。

当事者意識を持ち、自発的な組織になる

全体で目指すゴールと自分の仕事の結びつきを理解・納得していると、「自分ごと」として建設的な討論ができ、具体的なやり方を自発的に考える組織になります。お互いに信頼し合うチームワークから結果を出しやすくなり、チームで成果を出せた実感からさらに信頼関係が高まる、といった好循環が生まれます。

人材が安定し、強い組織になる

CIを正しく伝えることは、採用基準や教育基準の明確化にもつながります。社内・社外の両方に対して、この会社は何に価値をおき、どんな行動を取るべきかといった姿勢や指針を示すからです。ミスマッチを防ぎ、より「合った人」が集まることで、採用や教育にかかる金銭的・時間的コストを削減。人材が安定することで、組織はさらに強くなります。

エンゲージメントの高い組織になる

企業活動を支える重要な指標として注目される、顧客エンゲージメントと社員エンゲージメント。それぞれ対象が異なる概念ですが、ブランドのファンという共通項があります。CIが世間に浸透すると、企業の姿勢や考え方に共感するファン層が拡大。ファンは顧客になり得るとともに、人材候補にもなり得る存在です。また、自社のブランドが世間で支持されることは、社員にとっての誇り。つまり、CI浸透でファン化を進めることは、顧客エンゲージメントと社員エンゲージメント、両方の向上に寄与するのです。


企業活動を進める中でCIが担う重要な役割と効果を見てきましたが、いかがでしょうか。

― CIを作りたいが、どうしたら良いかわからない… ― 会議をやってみたけれど、話がまとまらない… ― 理念も行動指針もホームページに載せてあるが、社員ですらよく覚えていない…

このような企業が多いのが現状です。   CIの構築・浸透は、いざ取り組んでみるとなかなか進まず、次のようなことが起こりがちです。

役職や担当業務によって、視点や価値観が違う

CI策定には、できるだけ幅広いメンバーが関わることが望ましいです。経営者が一人で決めたものや、上層部だけの会議で作られたものを一方的に提示された場合、他の多くの社員にとっては他人事。これではせっかくの理念や行動指針が「絵に描いた餅」になってしまいます。

さまざまな部署や役職、担当業務の異なるメンバーが集まれば、視点や価値観の違いがあるのは当然です。その上で、会社としての存在意義や将来像、価値観、行動指針などを話し合うのは難しいもの。幹部や上司の発言が押し付けに感じられたり、日々の業務にフォーカスしている人は「そもそもこの話し合いって意味あるの?」と思ってしまうかもしれません。

このような中で共通のものを生み出し、定着させていくためには「仕組み」が必要です。  

実際の業務やサービスに反映されていない

理念や行動指針がただ掲げられているだけでは機能しません。手がける商品やサービス、日々の活動に反映され、実行されていくことが重要です。

サービス自体が、CIを実現できるものであるか。      ▼ ✔ それを運営する仕組みが、CIを実現できるものであるか。      ▼ ✔ そこに携わる社員の姿勢が、CIに沿っているか。      ▼ ✔ 実際の行動がCIに沿っていたかを確認する、面談や評価の機会があるか。

企業活動全体を通してCIとの整合性や一貫性を保ち、ブラッシュアップしていくことで、社内・社外にCIの浸透が進んでいきます。

逆に、この流れの中で辻褄の合わない部分やギャップを感じる部分があると、CIにそぐわない行動を取る社員が出てきます。また、長く続けていると、この仕組みに対する意識が薄れてしまったり、新しく入った人に正しく伝えられないままになっている場合もあるかもしれません。

「自分には関係ない」「担当業務をうまく回していれば良いだろう」という、無関心やチーム意識の欠如は、こういったところから発生する可能性もあります。

CI構築・浸透の観点から現状を見つめ直し、組織の基盤をしっかりと固めることが、変化の時代を乗り切るために必要です。

CI構築・浸透から事業開発・広報ツール展開まで、トータルで取り組んでいるブランディング事例をご紹介します。

写真 事業承継を控え、 チームを一丸にしていく名門神社。

時代が移り変わっていく中で、神社の存在価値を高めていきたい。事業アイデアを創出・展開していける人材とチームづくりに取り組み、一丸となって進む神社のブランディング事例。

白山神社様 ブランディング事例 ▶︎


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社会福祉法人のトップランナーになりたい。 次世代メンバー中心に全社巻き込みで進める、 採用力強化のブランディングプロジェクト。
若手減少の波を見越し、採用力の強化を。全国から人材を集めるべく、魅力的で充実した職場環境を訴求し、同時に将来を担う幹部人材を育成するプロジェクト。
安代会様 ブランディング事例 ▶︎



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