チームの成長と停滞の分岐点【Part2.心理的安全性を確保する】
前回の記事では、チームにおける信頼関係の大切さについてお伝えしました。
今回は、良い関係づくりのために「どのように一歩を踏み出すか?」に焦点を当てます。
「なんでも話せる関係性が大事」とはよく言われるけれど、実際できているのか自信がない……。そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。
とくに、新しいチームを任されたばかりのときや、メンバーが入れ替わった直後には、不安や戸惑いが入り混じって当然です。
チームが成長していくうえで欠かせない土台には、「心理的安全性」があります。その意味を改めて整理しながら、理想のチームに近づくためのプロセスを一緒に見ていきましょう。
チームの成長過程を知る
チームが形成されてから成果を挙げるようになるまでの成長過程を表した「タックマンモデル」をご存知でしょうか。 大きく分けて4段階あります。
チームの成長ステージ 第1ステージ 「フォーミング(同調期)」 ▼ 第2ステージ 「ストーミング(混沌期)」 ▼ 第3ステージ 「ノーミング(調和期)」 ▼ 第4ステージ 「トランスフォーミング(変態期)」
具体的には、このような状態です。 ・お互いのことをよく知らない ・何をするのかもよくわかっていない ・不安や緊張がある
明らかに緊張感が漂っている場合は分かりやすいですが、場合によっては何も問題がなさそうに見えるケースもあります。
例えば、元々コミュニケーションスキルの高いメンバーが集まっていたり、空気を読むのが得意な若い人が多い場合。一見すると仲が良さそうに見えますが、チームの成長という観点で捉えると、そのままで大丈夫というわけではありません。
何となく雰囲気は良いものの、 ・メンバー同士の考えや価値観が共有されていない ・ゴールの設定や、達成する方法などの共通イメージがない
つまり、仲の良さそうな集まりには見えても、「成果を出すチーム」としてはまだ機能していないという段階です。
この第1ステージから次へとステップアップするための鍵となるのが、コミュニケーションの「量」と、それによって生み出される「心理的安全性」です。
ステップアップの鍵「心理的安全性」
心理的安全性とは?
心理的安全性がある状態とは、「不安なく、率直に話したり行動できる状態」のこと。チームや職場の中で、安心して発言や行動ができる土壌があるかどうか。 具体的には、以下のような状態と解釈できます。 ・自分の考えや感情を、不安を感じることなく発言できる状態 ・チームに対して、安心して何でも言い合えると感じる状態 ・個人がそれぞれ自分らしく働ける状態
この状態が構築できてはじめて、成果を出すチームとして次のステージへ進むことができるのです。
自分がこの場所で、ありのままで居て良いのだと思える感覚。これがあることで、チームに対する信頼や、メンバーがお互いを尊重する関係ができてきます。
反対に、心理的安全性のない状態で目標や計画、各自の役割分担などを決めたとしても、チームとしては機能しません。
心理的安全性が不足すると?
心理的安全性が不足すると何が起こるのか。スピーチフォーラム「TED」にてエドモンドソンが話したところによると、次の4つの不安が生じます。
・無能だと思われるのでは、という不安
・邪魔をしていると思われるのでは、という不安
・ネガティブだと思われるのでは、という不安
・悪い報告はしないようにしよう
・余計なことは言わないようにしよう
・(気になる点があっても)指摘しないようにしよう
つまり、“しないようにしよう”が増えるのです。全く自発的になれず、むしろチーム全体に消極的な空気が蔓延した状態になります。
自分らしさを抑え込んだ働き方ではやりがいも感じられず、新しいアイデアやイノベーションどころの話ではありません。
チームの心理的安全性を高めることは、メンバーの自発的な行動を促し、仕事のやりがい、そしてエンゲージメントを高めます。
それが新しい発想へとつながり、事業の成功までを支える基盤となり、企業成長のためにも欠かせないものとなります。
目標設定や計画づくりも大切ですが、まずは「心理的安全性」を高めるのがチームを率いるマネージャー・上司の仕事です。
そのために、チームのスタートにあたっては、とくにコミュニケーション量を増やすことを心がけましょう。
“本当の信頼関係”を築くには
上司の立場にある方は、部下との関係について、こんなふうに考えていませんか?
「部下とはよく話しているから、大丈夫!」
「部下に『何でも相談して』と言ってあるから、何かあれば来るでしょう」
「信頼関係なんて当然」
これらは、本当にそうなのでしょうか。
はじめの頃はコミュニケーションを大切にしようと心がけていても、プロジェクトが動き出すと「忙しくてなかなか…」「そもそも自分もメンバーも外出が多くて…」となりやすいものです。
コミュニケーションの「量」を増やし「心理的安全性」を高めることは、決して簡単なことではありません。
また、「部下は上司の前では本音を言わない」という統計もよく見かけます。実は、空気を読むのが当たり前の環境で育ってきた若い世代ほど「表面的なお付き合い」が上手なのです。
上司の側の一方的な認識やポジティブな勘違いではなく、本当の信頼関係を築くために、上司が取るべき行動や仕組みがあります。
次回の記事では、信頼関係を築くために何をすべきか、また、信頼関係を築きながら目標達成に向けて部下を導く方法について解説します。お楽しみに!
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