『慎重さ』の特徴&活かし方【ストレングスファインダー®資質解説】|ALL BRANDING WORKS
ストレングスファインダー®(クリフトンストレングス®)は、アメリカの世論調査会社Gallup社(ギャラップ社)が開発した「才能発見ツール」。Webテストで177個の質問に答えることで、自分の強みや才能を表わす「資質」を知ることができます。
この記事では、Gallup認定コーチが資質の特徴や活かし方を解説! 5,000人/100社以上のストレングスファインダー研修から得た経験と知識をお伝えします。
個人とチームのどちらにも活かせる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください!
今回は34資質の中から、あらゆるリスクや危険を考慮して、意思決定に細心の注意を払う人『慎重さ』について解説します。
意思決定に細心の注意を払う!『慎重さ』の特徴
『慎重さ』とはあらゆるリスクや危険を考慮して、意思決定に細心の注意を払う人。
慎重さ:Deliberative <実行力> TOP5出現率ランク:[日本]11位 [世界]26位
用心深く、油断しない人です。 あらゆるリスクの可能性や選択肢を考慮して、その中で最も安全策を選びます。 決断ができれば、行動につなげられる人です。
- 用心深く考え、リスクヘッジをする
- 常にリスクや危険に備える
- 物事の全容や全体を理解しないと不安である
- 手順やルールを逸脱することを好まない
- 即決や判断を急かされることが苦手
- 安易に自己開示をしない。情報管理をしっかりと行う
- 思慮深く堅実である
- 安全や安心が確保できると行動に移せる
「人生には危険がつきもの」と考えていて、用心深く判断や行動をする人です。 一見何も無いように見えても、いつ・何が起こるか分からないので、常に備えておく必要があると考えます。
ミスをしたくない人です。思慮深く、堅実な働きをする人が多く、真面目で作業を確実に進めていく傾向があります。確実なこと、安全なことを好むので、保守的に見えるでしょう。しっかりと状況確認や安全確保をしていくので、優れた判断力を発揮します。
危険を察知する嗅覚が鋭く、リスクや起こりそうな危険を予測します。実行に移す前に全体像を把握し、手順やルールの確認を怠りません。その過程で、顕在化していない問題にも考えを巡らせて、事前に対策しようとします。
複数の選択肢をつくり、プラン1つ1つのメリット・デメリットや、安全性や確実性を見極めていきます。そして、その中で安心・安全に遂行できる方法を選択するのです。
複数の選択肢を考える点では、『戦略性』の資質と似た経路を辿りますが、違いは最終的に“行動”に移すことにあります。『慎重さ』の人は、意思決定までに時間がかかるタイプで、あまり動かない人だと思われがちですが、“石橋を叩いた”あとには、ちゃんと“渡る”実行力をもっています。
警戒心が強い人も多いです。情報管理にも注意する人で、気軽に個人情報をオープンにしたりしません。人と仲良くなったり、信頼関係を築くには時間が必要かもしれません。
準備不足の状態で「とりあえずやってみる」のが苦手です。特に、仕事を丸投げされることが嫌いで、手順や目的が曖昧なまま指示されるのは強いストレスを感じます。「とりあえずやってみて」「適当でいいよ」と仕事を雑に振られたり、目的を伝えられぬまま作業だけを渡されてもやり方が分からず、ミスの危険性が気になって動き出しが遅くなってしまいます。
これでは、持ち前の実行力が活かされません。『慎重さ』が高い人に仕事を依頼する場合は、依頼の目的や全体像・内容をできる限り詳細に伝えましょう。また、過去の事例や現時点で分かっているリスクがあれば、先に伝えておくのがオススメです。
『慎重さ』の人も、依頼者にしっかりと質問や情報を求めるようにしましょう。相手の資質が『活発性』や『適応性』『ポジティブ』の人は、「任せるから自分で考えてやっておいて」と適当な指示になりやすかったり、『戦略性』の場合は目的だけ伝えて間の細かな説明を省く傾向にあります。聞きにくい相手かもしれませんが、質問の仕方を工夫するなどして、自分が業務を効率よく進めるための情報を得るようにしましょう。
『慎重さ』を上位に持つ人に多い課題が、「腰が重くなる」「あれこれ気になりすぎて、行動する前にやめてしまう」「周りのペースが早くてついていけない」などです。他の人が気づかないリスクや問題に“気づいてしまう”ため、そのたびに回避策を考えたり、周りのリスクを気にしない楽天的な人たちの対応にハラハラして、疲れてしまうのです。
解決方法としては、「情報収集のスピードや精度を高める」ことをオススメしています。 自然と見えてしまうリスクに気づくな・考えるなというのは難しいので、リスクを潰して悩む時間を短くしましょう。
悩みの多くは、決断のために必要な情報が少ないことが原因です。検索スキルを高め、解決策や情報を集めましょう。事例やリスク対策、口コミやアイデアなどを探して不安点を潰し、選択肢をスピーディーに絞り込んでいくのです。
その能力を存分に活かし、精度の高い決断や行動に活かしていきましょう。
『慎重さ』の長所と短所
ストレングスファインダーの資質1つ1つに2面性があります。才能が開発されて、長所や自他に良い影響を与える「バルコニー」の状態。もう1つが、未開発で短所として使われている「ベースメント」の状態です。
ここでは『慎重さ』のバルコニー/ベースメントの“あるあるネタ”をご紹介します。
●判断力を活かしてリスクヘッジをする 状況判断力やリスクヘッジに長けていて、間違いや失敗を防ぎます。絶対に失敗をしないということは難しいですが、高確率で回避できるでしょう。慣れないことには決断までに時間がかかりますが、経験を積むことでスピーディーに判断できるようになります。
●相談役になる 注意深く物事を見ることができ、起こりうることを予測できます。そのため、備えておくべきことや、やり方を変えたほうが良い部分をアドバイスすることができます。問題点の指摘や計画の精度アップに役立つことができる人です。
●約束を守り信頼関係を築く 情報やデリケートな話題を、慎重に取り扱える人です。情報が漏れてしまう危険性や、その後に起こりうる影響を想像できるため、適切に対応できます。秘密を守ってくれる姿勢に、信頼を寄せてくれる人が多くいることでしょう。
●優柔不断になる 複数の選択肢を考えて検討します。メリット・デメリットを比較する中で優先順位を決められず、迷ってしまいます。頭の中で考えてばかりいるのではなく、情報を集めたり人に相談したりするなどして迷う時間を短縮し、納得のいく決断ができるようにしましょう。
●自己開示が苦手で、人との距離が縮まらない 自分の情報を教えても良い相手なのかを慎重に見極めようとします。警戒心を出しすぎると、人との距離がなかなか縮まらなかったり、相手から「嫌われているのかも」と誤解を受けてしまう可能性があります。無理して情報開示や距離を縮める必要はありませんが、相手にとって心地良いコミュニケーションができる雰囲気づくりを心掛けましょう。
●ミスを過剰に怖がり、チャレンジしない ミスやリスクに過剰に反応してしまうことがあります。チームの士気を下げたり、チャンスを逃さないようにしましょう。また、周囲から「ネガティブな人」「業務に後ろ向きな人」「チームにアサインしないほうがよいかも」と、誤解を招いては損してしまいます。どうしたらベストか?できる方法はあるか?など、一度は前向きに検討してみると良いかもしれません。
『慎重さ』の活かし方&モチベーション
資質を強みとして使い、生産的・安定的にパフォーマンスを発揮するようになるには、資質の深い理解と経験と知識を重ねながら、シチュエーションや条件、ベースメントの抑え方をマスターするなど、再現性を高めていくことが大切です。
『慎重さ』のモチベーションスイッチが入りやすいポイントを理解すると、スムーズに本来の力を発揮できるようになります。
ここでは一例をご紹介します。 ご自身で挑戦してみるもよし、『慎重さ』が高い人に対して試してみるもよし。ぜひ活用して、自分なりのスイッチの押しポイントをつかみましょう。
□ 問題になりそうなことを事前に把握する □ 顕在化していないリスクに備え、リスクヘッジをする □ 問題の解決策を考える □ プロジェクトやチームの「ブレーキ」役を務める □ 安心・安全を確保できる環境で働く □ 必要な情報や協力が得られて、不安なく作業ができる環境 □ 心理的安全性の高い環境 □ 精度や安定性の高い仕事を評価されるとき
これらは一例です。
『慎重さ』と併せ持つ上位資質によっても異なります。ぜひ、ご自身なりの得意技の繰り出し方を研究してみましょう。
『慎重さ』は、安心や安全性が確保できる環境で力を発揮しやすくなります。良い判断を下すために、必要な情報や協力者を得て、行動に移しやすくすると実行力が活かされます。上記のような工夫を、できるだけ取り入れてみましょう。
『慎重さ』のマネジメント活用
『慎重さ』を上位にもつマネージャーが、リーダーシップや部下育成に資質を役立てていく際に、得意なスタイルがあります。①信頼関係構築 ②思いやりの示し方 ③安定感の生み出し方 ④希望の与え方と注意点 こちらの4つのポイントに沿ってお伝えしていきます。
①信頼関係構築:誠実な態度で問題解決にあたる 思慮深く、さまざまな可能性からベストな方法を導き出します。デリケートな問題にも、しっかりと対応できるでしょう。課題と真摯に向き合うことで、信頼を得ることができます。
②思いやりの示し方:部下を褒めるときは具体的に褒める 『慎重さ』を上位にもつ人は、人をむやみに褒めない傾向があります。褒めていると伝わりにくいため、意識的に相手の良かった点や何が評価されたのか、具体的に伝えましょう。
③安定感の生み出し方:結論に至った経緯や背景を説明する リスク管理の一環で、情報伝達を最小限に抑える傾向があります。方針や指示をする際は、結論だけではなく背景も伝わるようにしましょう。チームの理解や行動に活かされます。
④希望の与え方:チーム全体の「考える力」を養う あなたの判断やリスクヘッジに至る考え方をメンバーに伝えることで、チーム全体の思考や判断力を養うことにつながります。
①決断から行動までに時間をかけ過ぎる 考察する時間をかけ過ぎて、決断や行動が遅くなります。クライアントやメンバーに迷惑をかけたり、チャンスを逃してしまわないように注意しましょう。考える期日を設けたり、情報収集をメンバーに協力してもらうなど、スピーディーに対応できるようにしましょう。
②人を褒めない 「結果を出して当たり前」と考えているあまり、人を褒めないマネージャーがいます。チームのモチベーションアップや、メンバーが達成感を感じる機会を逃してしまいます。メンバーを褒めるという習慣や、褒める際に具体的に伝える意識を持つようにしましょう。
③保守的で頭が固くなる ミスや評価を気にするあまり、個人的な理由で判断を下してはいけません。ルールに固執したり、前例のないことにチャレンジしないなど、変化や失敗を恐れてチームの成長機会を奪ってはいけません。時にはリスクに挑むことも必要です。
『慎重さ』のマネージャーは、チームが抱えるリスクを見極め、問題に対処しながら確実に前進させることができます。
『慎重さ』資質のまとめ
『慎重さ』とは... あらゆるリスクや危険を考慮して、意思決定に細心の注意を払う資質です。
こんな風に能力を発揮! ● 判断力を活かしてリスクヘッジをする ● 相談役になる ● 約束を守り、信頼関係を築く
資質を活かすためには、安心や安全性が確保できる環境をつくりましょう。良い判断を下すために、必要な情報や協力者を得て、行動に移しやすくすると実行力が活かされます。
ベースメントにはこう対処する! ●情報を集めたり人に相談して迷う時間を短縮 ●心地良いコミュニケーションができる雰囲気をつくる ●ミスを過剰に怖がらず、前向きに検討
『慎重さ』の資質を活かしやすい場面や仕事は、次のようなものがあります。
✓ 顕在化していないリスクに備え、リスクヘッジをする
✓ 問題の解決策を考える
✓ プロジェクトやチームの「ブレーキ」役を務める
✓ 安心・安全を確保できる環境で働く
✓ 心理的安全性の高い環境
✓ 必要な情報や協力が得られて、不安なく作業ができる環境
✓ 精度や安定性の高い仕事が求められるとき
参考にし、ご自身やチームのために強みを発揮できる機会を増やしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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