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変化しつづける企業の“揺るぎない核”をつくる【あおやまメディカル株式会社|企業ブランディング】

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福祉用具・介護用品の取り扱い事業者として新潟市を中心に事業展開している、あおやまメディカル株式会社さま。

新規事業として介護用品の修理・レンタルを手がけるにあたり、ロゴデザインを依頼したいというご連絡をいただきました。

超高齢社会が進む中で、これらのサービスを必要とする方は今後も確実に増えていきます。そこで、今回の新規事業のほかにもさまざまなニーズに応える事業を手がけていること、そしてあおやまメディカルという企業のことをもっと世の中に知ってもらうべきだと感じました。

そこでご提案したのが、各事業の傘となる企業全体のコーポレートブランディングです。

まず「あおやまメディカル」としてのビジョンやブランドメッセージを確立すること。そして、それを顧客に伝えながら事業全体をわかりやすく説明できる営業ツールの制作です。

実は当時、創立40周年を翌年に控えており、専務が社長に就任する予定というタイミングでした。そこで「ぜひ、今やりましょう!」とお返事をいただき、コーポレートブランディングに取り組むことになりました。


1.課題

顧客のニーズに応える形でサービスを展開。病院・施設向けの法人営業/在宅個人向け営業/直営店の運営/介護リフォーム事業/アクティブシニア向けのノルディック・ウォーク事業などの既存事業に加え、新規事業を検討し始めていました。

こうして列挙すると各事業が区分けされているようにも見えますが、実際には、在宅個人向け営業の流れの中でリフォームの案内をするなど、個々のサービスが切り分けられていない状態。

すでに関係性ができている既存顧客に対しては、その都度ニーズに合わせて最適な提案を用意していましたが、新規顧客にとっては全体像を把握しづらく、必要としているサービスを見つけにくい状態になっていました。

また、ケアマネージャーを通して用具などの手配をするケースも多く、あらためて会社のことや事業内容を整理して伝えるシーンが少ないことも影響していたようです。会社案内などのツールも、必要に迫られるほどではありませんでした。

会社のことや事業内容をしっかりと伝えることは、サービスを必要とする人のためになるだけではありません。企業としては人材確保の面でも重要なことであり、結果的に業界発展への貢献にもつながります。

そこで、会社のビジョンや想い、それに基づく幅広い事業について伺い、整理するところからスタートしました。


2.解決の方向性

当時は、それまで現場で動いていた専務が社長就任に向けて徐々に管理側へと移行している最中でした。体制や方針が変わっていく移行期にあり、社員がそれに慣れず足並みがうまく揃わないという組織的な課題も抱えていたそうです。

ビジョンやメッセージの構築のためにお話しを伺っていく中で、「自分が全部決めてしまうよりも、社員にも参加してもらい、みんなで作り上げたい」という専務からのご希望がありました。

さらにヒアリングを進めていくと、体制変更以外にも、組織が不安定になりがちな要因がいくつか挙げられました。例えば、在宅部門などは特に随時対応が必要で日常的に忙しく、部署間の壁が生まれやすいこと。業界全体の変化が速く、法律や制度の変更により会社の活動内容も変更せざるを得ない場合があること。

このような環境下で新規事業に取り組むにあたり、より社員同士の連携を高めていく必要がありました。そのため、今回のプロジェクトはこれらの点にも配慮して進めることになりました。


3.実際の構築ステップ

  • ワークショップ

  • ロゴ

  • タグライン

  • ブランドメッセージ

  • ホームページ

  • 会社案内

  • 既存事業見直し

  • 新規事業計画

  • 事業戦略

当事者の想いに寄り添うメッセージ

ブランドメッセージとタグラインは、主に専務と弊社ディレクターとのキャッチボールの中で作り出されました。このプロジェクトの中でも一番の核となった部分です。

介護を必要とされる方々には、いつも切実な想いがあります。例えば、昨日までは走って抱きついてくるお孫さんを抱っこしてあげることができたのに、今日それができなくなる。それまで普通にできていたことが急にできなくなる絶望に、毎日気付く瞬間があります。

それを知っているからこそ、「あなたの明日を明るくします」のような簡単なことは言いたくない。当事者に寄り添うメッセージを作りたい。

たくさんのヒアリングの中から導き出され、残ったキーワードは「かわらないあした」でした。普通の明日がどんなに尊いことかを肌身で感じてきた立場から、自然と出てきた表現です。

ホームページにも掲載している、タグラインとメッセージ。明るい理想のようなものではなく、当事者の実際に寄り添うものを目指した。

若手社員チームを中心に取り組むブランディング

ブランド全体の方針など大枠を固めた後に、ブランディングチームを結成。そのメンバーを中心にみんなで力を合わせて、事業案内やホームページなどの詳細なコンテンツを作り上げていきました。

マーケティング部の方をリーダーとして20代の若手社員を中心に5名ほどが集まり、会社の強みやサービス内容など、何を打ち出すのかを検討。その後、ツールのコンテンツ制作や必要な社内手配などもチームが先導して取り組みました。

一人ひとりが自分なりの意味を込める「旗」のモチーフ

ロゴに関しては、バリエーションも含め50案ほどの中から、みんなでこだわって選びました。「こういう理由でこちらの案を残したい」というやり取りを繰り返す中で、お互いが大切にしたいことが見えてくる作業でもありました。

最終的に採用されたのは、以前のロゴにもあった「A」の三角形のフォルムや青系の色味などの要素を残しつつ「旗」をモチーフにした案。

介護用品を使って生活や暮らしを案内する旗、道しるべとなる旗の意味を込めたものです。旗の下にはページを表す2本線を加え、今日・明日・明後日…と毎日が連続し、「かわらないあした」が続いていくイメージを持たせました。

旗の形状は、揺らぎのある形を採用。風にはためく様子を表し、自分たちが力強く引っ張っていくという想いを反映した。

このような意図で制作したロゴでしたが、その後、ある社員の方からは「自分としては、応援の旗だと思っている」という声をいただきました。

病院や施設で提供される介護サービスを“直接介護”と呼ぶのに対し、自分たちができるのは“間接介護”。道具の提供を通じて介助生活を補助する役割です。直接手を引いて導くことはできないけれど、道具を使ってご自身の脚で歩いてもらうとき、必ず心の中で「頑張れ!」って言うようにしている、その応援の気持ちの旗なんです、と。

社員一人ひとりが自分なりの旗の意味合いを持ち、「かわらないあしたを」のタグラインの元に会社全体がひとつになっていることが感じられ、とても嬉しいエピソードでした。

「かわらないあした」を叶える会社パンフレット

会社案内パンフレットの制作にあたっては、病院や施設、ケアマネージャーを通じた先にいる、介護を必要とされる方とそのご家族を意識して進めました。

手などを傷付けることのないように角丸の体裁にし、手の油分が少なくなった高齢の方でもページをめくりやすいよう、ざらっとした質感の紙を選んで提案しました。もちろんコストとしては高くなりますが、結果的にはこの点がさまざまな方面から高評価をいただくことになりました。

名刺も合わせて角丸にしたことで、営業などのシーンでもまず最初に「これ、良く考えられていますね」と言ってもらうことがあり、良い印象で始めることができるそうです。

またデザイン面では、写真ではなくイラストを使用したり、親しみを感じやすくおしゃれな印象に仕上げました。

ただ単におしゃれにしたかった、ということではありません。例えば、おしゃれなおばあちゃんは、少し歩きづらくなったとしても今日も変わらずおしゃれなおばあちゃんのはずです。それが介護が必要になった途端、急に病人のように扱われるのはおかしい。介護用品が必要な状況になったとしても、昨日と変わらず素敵な暮らしを続けてもらいたい。そのためのものを提供している会社のパンフレットが、いかにも介護業界や病院をイメージさせるようなものでは良くない、と考えたからです。

「かわらないあした」のために、このパンフレットを手にする方の気持ちに寄り添うものを目指しました。

角で手を傷付けないようにという配慮から、会社案内・名刺ともに角丸の体裁で統一した。
会社を木に例え、社員を動物で表現。木の実は介護の道具や情報など、お客様の役に立つもの。動物たちが木の実を持って他のページにも登場し、お客様に届けに行くというストーリーで、このイラストの説明から自然と会社の紹介に入れる設計にした。
在宅利用者の方と施設職員やケアマネージャーの方などから、アンケートでいただいたリアルな声を紹介。サービス内容を端的に載せるよりもお客様との関係性を見せることで、会社の強みを伝えるページにした。
初めて介護用品が必要になった方の場合、どこでどういうものが必要になるのか、まだわからない。家というスペースを中心に説明することでイメージしやすく、また、トータルでサポートできることをアピールする作りにもなっている。

幅広い人材にビジョンを届ける

会社案内パンフレットの内容をホームページにも反映させつつ、特に採用ページを強化しました。介護用品事業の会社ということで応募者の出身大学や学部が偏りがちですが、実際には商社でもあり、多角化経営を進めている最中。会社としては幅広い人材を希望していました。

高齢者の方とのやり取りばかりでなく、営業職の商談シーンを見せたり、ノルディック・ウォーク事業やカルチャースクール事業が健康増進など社会貢献にもつながっていることを先輩の声として紹介するなど、各事業と会社の全体像が見えるよう設計しました。

新しくなったロゴと合わせ、デザインを一新。タグラインやメッセージをはじめ、会社のビジョンを表すコンテンツをしっかりと打ち出した。
採用サイトでは、介護シーンだけでなくさまざまな事業フィールドを見せ、幅広い人材に来てもらえるよう設計。

事業戦略を再構築し、多角化経営の効果を最大化

本部の介護用品事業以外にも、アクティブシニア対象のノルディック・ウォークや教育事業など、事業の多角化を進めていました。業界や社会の変動を見越し、あおやまメディカルという企業ブランドをより強くするための取り組みです。

各事業部がそれぞれの顧客のことを考え熱心に取り組んでいましたが、当時はまだ個別のブランドとして動いており、多角化経営の相乗効果を生み出せていない状態でした。

そこで今回のプロジェクトに際し、あらためて事業同士の関わりや顧客と情報の流れなどを詳しく伺い、事業構想の全体像と展開方針を整理しました。タグラインやロゴ、営業ツールの制作と併せて事業戦略の面からもサポートさせていただくことで、より効果的なコーポレートブランディングができました。


4.まとめ

40周年記念式典を迎え、来賓として参列された方々に新しい会社案内パンフレットを配布しました。

メーカー担当者や業界関係者から、「とてもわかりやすい」「(角丸にしたところなど)よく工夫されている」と、たくさん反響があったとのこと。普段の営業の際にも、法人営業の担当者は「どこで作った?」とよく聞かれるそうです。

パンフレットを手にする方とそのご家族の気持ちに寄り添い、あえて介護業界らしくない仕上がりを目指しましたが、そのことが結果的には業界内で目を引くことになりました。

また、式典に合わせて公開したホームページと採用サイトのPR効果も出てきており、公開後最初の採用から応募人数が増え、期待通りの人材を採用することができたと嬉しいお声をいただきました。

「かわらないあしたを」というビジョンを掲げた今、介護用品を必要とする方々への支援だけでなく、アクティブシニア層が変わらず元気な老後を過ごせるよう健康増進の取り組みを普及させるなど、より広い視野での事業展開に取り組まれるとのこと。弊社もパートナーとして継続的にブランド運営のお手伝いをさせていただいています。

BEFORE

  1. 変化スピードの速い業界。法律や制度の変更により、会社の方針・活動も変わらざるを得ない。
  2. 高齢化が進み、新規顧客との接点が増える。事業内容を整理して伝えるツールが必要。
  3. 業界や社会の変動を見越して事業の多角化を進めてきたが、各事業の役割が整理されておらず、企業ブランドに対する効果が最大化できていない。

AFTER

  1. タグラインやロゴを介してビジョンが共有でき、環境が変わってもブレない組織に。人材採用と育成に効果が出始めている。
  2. 初めて介護用品が必要になった方の気持ちに寄り添いながら、会社の強みや事業内容をわかりやすく伝えるパンフレットができた。
  3. それぞれの事業の役割が明確に。最適化され、シナジー効果を起こし始めている。

<企業情報> あおやまメディカル株式会社 〒950-1151 新潟市中央区湖南27-7 https://www.aoyama-medical.co.jp/
※記事内容は取材当時のものです

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