独自技術を活かした、新ブランド開発ストーリー【三旺食品合資会社|商品サービスブランディング】
昭和元年創業、新潟市中央区に麺工場を構える、三旺食品合資会社さま。
以前は「大島こんにゃく屋」として、こんにゃくや海藻から作られる新潟名物「えご」を生産し、地域で親しまれてきました。現在は、ラーメン・うどん・そば・パスタなど幅広い麺類の製造を手掛け、製麺加工のプロフェッショナルとして知られています。
そしてこの度、IPC財団の食の販路開拓補助金に採択され、アドバイザーとして弊社代表 関本と商品開発の会議を行いました。その会議では「本格生麺でありながら常温保存・レンジ調理が可能な即席ラーメンの技術」を活かした商品を開発したいというご依頼があり、商品開発ブランディングがスタートしました。
1.課題
当時、ラーメンで全国的に知名度の高いものと言えば、札幌・博多・喜多方などのご当地ラーメン。新潟県内を見ると、燕三条の背脂ラーメンや長岡の生姜醤油ラーメンなどユニークなラーメンがあったものの、まだあまり知られていない時期でした。そこで、ローカル誌で話題になり始めていた「新潟五大ラーメン」と、「レンジで調理できる本格生麺」の技術を組み合わせ、新潟の新しいお土産品として販路を開拓していくことになりました。
観光客や県内外のラーメン好きの方をターゲットとし、商品開発やパッケージ制作、PR方法の検討を進めました。さまざまな商品が土産品として売り出される中で、「ラーメン」という商品カテゴリ自体は、特に目新しいものではありません。
すでに多くのアイテムが並ぶ売り場で存在感を持たせること、かつ、この商品の技術的な特徴「レンジ調理可能な本格生麺」を分かりやすく訴求することで、競合品との差別化を図る必要がありました。
2.解決の方向性
県外の方が新潟に訪れた際にお土産として購入し、プレゼントする側もされる側も嬉しくなるような製品を制作することになりました。陳列される際の競合他社との違いを出すために、インパクトの中にも品の良さを感じるパッケージデザインを意識しました。
また、ロゴマークとキャッチコピーに「レンジでゆでる、本格生麺」と必ず入れることで、簡単な調理で本格的な生麺が食べられるという製品の特徴を分かりやすく打ち出しました。
3.実際の構築ステップ
- 商品開発
- ネーミング、ロゴマーク、タグライン、パッケージの制作
ロゴマークは「食べ終わった後のラーメンどんぶりの底」をイメージ
「レンジで調理できる生麺の開発技術」という他社にはない特徴を、キャッチコピーとしてロゴマークにも取り入れました。また、レンジのイラストを組み込むことで、簡単に調理できることをビジュアル面からも訴求しています。

新潟を「ラーメン激戦地」として盛り上げた火付け商品
新潟五大ラーメンをフィーチャーし、ターゲット・販売場所・食べられるシーンに合わせ、パッケージにも様々なバリエーションを持たせました。カップ入りのパッケージは、新潟五大ラーメンのブームを巻き起こすきっかけとなった商品で、現在も売れ行き好調のシリーズです。


4.まとめ
県内のローカルテレビで新潟ラーメンが特集された際に「楽珍亭」が取り上げられるなど、新潟のお土産ラーメンとして注目が集まりました。シリーズ化したことにより、新潟県内のサービスエリアやお土産売り場、地域の物産品を取り扱うお店などにも陳列されるようになり、5年以上続くロングラン商品となりました。累計1万食以上売上げている商品として、多くのラーメンファンを魅了しています。
現在も売れ行きは好調。その後もレンジ調理対応の派生商品を開発し、継続して発売。徐々に販路を拡大しています。


BEFORE
- 当初は「レンジ調理可能な本格生麺」という技術を使った新商品の開発が必要だった。
- ブランディング前は、自社工場で開催する直売会のみでの販売だった。
AFTER
- 「レンジ調理可能な本格生麺」シリーズとして「楽珍亭」が誕生。三旺食品の独自の技術が、ロゴマークで伝わる形となり広く認知された。
- 新潟五大ラーメンを代表するお土産として商品のシリーズができたことにより、販路確保や陳列場所の確保に繋がった。
<企業情報> 三旺食品合資会社 〒950-0074 新潟市中央区鏡が岡2-22 https://sanou-syokuhin.jp/ ※記事内容は取材当時のものです