山形の良いものと人を繋ぐ新たな拠点を目指して【株式会社ホリエ|店舗ブランディング】
山形県で住宅事業を展開する株式会社ホリエさま。
新事業として、山形県南陽市に「FOOD × INTERIOR × LIFE STYLE」をコンセプトとした複合施設【TERRACE RUBAN Akayu テラスルヴァンアカユ】を建設することになり、ご相談をいただきました。
テラスルヴァンは、「山形の食、暮らし、様々な価値」を再認識してもらう場所。山形県内をはじめ全国各地の方に、地域に根ざすゆたかさと暮らしのうるおいに触れてもらうことを目指しています。
今回は、こちらの店舗ブランディングに取り組みました。
1.課題
株式会社ホリエの拠点地である、山形県飯豊町。このエリアを超えて商圏を拡大していくための新たな施策を考えていました。しかし、ブランドの理想像は存在していたものの抽象的なイメージにとどまっており、具体的な方向性や施策にまで落とし込まれていませんでした。そのため、関係者の間でブランドに対する解釈や目指すべきビジョンやゴールを共有できているとは言えない状況があったのです。
こうした状況の中で、ブランドの核となるコンセプトをどのように擦り合わせ、全員が納得できる形にまとめ上げるかが大きな課題となっていました。
2.解決の方向性
弊社では、2014年に家具事業を行う「Gino ジーノ」、2015年にはハウスビルダー「Ciel シエルホームデザイン」のリブランディング事業を行っていました。その経験を基に、今まで築き上げてきたシエルの「リゾートに、住まう。」のブランドコンセプトは崩さずに、新しいブランドの切り口として多角化経営を行い、潜在顧客の開拓を行うことになりました。
そこで具体的に取り組んだのは、FOOD × INTERIOR × LIFE STYLEをコンセプトにした、「モデルハウス」+「レストラン」+「インテリアショップ」の併設施設を建設し、継続的にモデルハウスの展示会に来ていただくための道筋とすること。
まずは「テラスルヴァン」の求める理想のブランド像を明確にするところから着手し、関係者同士でブランドの在り方やコンセプトを固めていきました。
その結果「非日常的な、リゾート感の提供」というキーワードに辿り着き、これを元にブランド調査を行うことが決定。
さらに、テラスルヴァンの館内のみで「充実した休日を過ごせる場所」を目指すことを大きく方針づけ、3つのブランドカテゴリからなる施設を計画することになりました。
山形の旬の食材が楽しめるレストラン
2. Ciel HOME DESIGN
「リゾートに、住まう。」のコンセプトを基に、洗練されたワンランク上の住空間を演出したモデルハウスを見学できる
3.Gino Furniture&LIFE STYLE
暮らしに彩りを与えるセレクト家具ブランド(家具販売事業)
3.実際の構築ステップ
- ブランド調査
- ロゴマーク
- WEBページ
- エントランスサイン
- 施設会場内サイン
- リーフレット
- ポイントカード
- 名刺
- 団体構築
- 広報・営業計画
理想像を共有し、ブランドが目指す先を見据える
まずブランド調査で行ったのは、クライアントの方と“理想のレストランの在り方”をすり合わせること。有名レストランやカフェを何軒も巡り、担当の方と店舗の理想像の共有や、共通言語・共通体験を増やすことで、目指すべき最終着地点をお互いに明確にすることが目的でした。
レストランの外観デザインの参考探しを始めとし、料理・価格面・店内のインテリア・食器やカトラリーの選定など、細部に至るところまで突き詰めて調査を行いました。
ここで「人と人、人と山形の土地が交わることで、山形の価値を再認識してもらう」というブランディングの意図を重要視する方針となり、打ち合わせの場面では積極的に意見交換が行われるとても良い場となりました。
人と山形が交差する場所を、リボンで表現
テラスルヴァンは、訪れたお客様や山形にお住まいの方々に非日常のリゾート空間を提供することで、「山形には、こんなに素敵な価値がある!」「住んでいてよかった」と感じてもらえる複合施設を目指しました。ルヴァンのネーミングは、「リボン」のフランス語である[Ruban]からきており、モチーフであるリボンには、大きく3つの意味を込めています。
1つ目は、山形で採れた食材などをリボンで飾り付けるようなイメージで、より良いものにしてお客様に提供すること。
2つ目は、地元の方や県外の方に山形の良さや価値に気づいてもらい、良いところを人に繋いでいくこと。
3つ目は、リボンが交差するイメージから、人を結び交流する場所としてテラスルヴァンが存在していることを表現しています。

山形で過ごす非日常のリゾートの情景を連想させる一冊
ルヴァンのブランドイメージに寄り添い、上品ながらもカジュアルな印象を与えるリーフレットを制作しました。新規のお客様に興味を持っていただけるように、幅広いターゲットに響く一冊にすることを考慮しました。3つのブランドの情報がスマートに伝わるように整理し、デザインされた一冊になっています。
このリーフレットに自然と手が伸びるお客様も多く、良い広報・PRの効果が出ていると言えます。



おしゃれなリゾート空間を演出する各種サイン
エントランスサインの制作時には、特に入念にブランド調査を実行。話題に上がる東京のカフェ・レストランには、その店舗の象徴となるようなサインが多く見受けられました。「テラスルヴァンらしさ」を強くアピールしたエントランスサインの制作を行うため、現地に赴き、サイズ感や時間帯ごとのサインの見え方など、様々な視点から検証を重ねて制作しました。



4.まとめ
ブランドが誕生し、瞬く間に山形の人気のスポットになりました。建設中には、どういった施設ができるのかと気になる方もいらっしゃったと伺っています。
特に、併設のレストラン「6DINING」はランチが人気で、休日のお昼時には多くのお客様でにぎやかなランチタイムになるそうです。
南陽市にテラスルヴァンができたことで、この施設を通じてシエルブランドの認知度の向上や、ブランド全体の期待値が高まり、継続的な来場者数・受注件数が格段に増加しています。
また、シエルの拠点地である飯豊町を超えて、幅広い地域に商圏を広げることができました。
シエルのブランドが放つ上質感は保ったまま一気通貫のブランディングに取り組んだことで、人と山形地域との良いものを繋いでいく場所としてスタートすることができました。
BEFORE
- 漠然としたブランドの理想像はあるが、具体的なところまでは踏み込めていなかった。関係者同士、必ずしも同じ場所を目指しているとは限らない。どのように擦り合わせるかがネックとなっていた。
- テラスルヴァンが求める理想像を、ロゴマークに表現したい。
- 株式会社ホリエの拠点地である、飯豊町を超えた商圏を拡大したい。
AFTER
- ブランド調査により、関係者同士の意思疎通や、同じ体験を行うことで価値観の共有に繋がった。強みやブランド価値の再発見もできたことで、表に見える部分だけでなく、奥行きを感じさせるブランディングを行えた。
- ブランドロゴマークは、フランス語で「リボン」がモチーフ。飾る、繋ぐ、結ぶの3つの役割になぞらえて制作。人と山形との交流の場であるテラスルヴァンを通して、山形の価値を再認識してほしいという想いが込められている。
- 南陽市にテラスルヴァンが誕生し、シエルの認知度が向上したことで商圏が拡大。新規顧客獲得につながった。
<ブランド情報> TERRACE RUBAN Akayu (テラス・ルヴァン・アカユ) 〒999-2211 山形県南陽市赤湯3127-1 http://terrace-ruban.com/ ※記事内容は取材当時のものです