【アート・ミックス・ジャパン】ビジュアル制作
新潟で毎年、春の訪れと共に開催される日本の伝統芸能の祭典「アート・ミックス・ジャパン(AMJ)」。第1回目は2013年に開催。その前年に弊社が手がけた「にいがた総おどり」のビジュアル制作を評価していただき、AMJの方も担当させていただくことになりました。

第1回目は、当然のことながらイベント自体がまだ認知されていない状況です。参加アーティストを打ち出しつつ、伝統芸能の敷居の高さを感じさせないデザインを目指しました。日本人に生まれたからこそ、自国の文化をもっと気軽に楽しんで欲しい。その想いがベースにあり、毎年のビジュアルコンセプトにも取り込まれています。
2年目以降は浮世絵を使用しています。毎年同じ時期に目に触れることで、「あのイベントね」と認知が拡がることを意図しました。印象に残るビジュアルでインパクトを与えつつも、品の良さも両立させています。イベントの持つ意味やターゲットについてヒアリングを重ねる中で、この「インパクトと品の良さの両立」がビジュアルのポイントとして挙がり、翌年以降もコンセプトの核となっていきました。

ロゴとシンボルは、マイナーチェンジを重ねてきました。イベント初期の数年間は特にこだわり、大きく変えた年もあります。どこかの時点で完成ということではなく、回を重ねるごとに「もっとできるんじゃないか」という想いが生まれ、進化し続けているこのイベントの考え方が、ロゴマークの変化にも表れています。
シンボルは、織田信長の家紋「織田木瓜」をベースに、桜をモチーフとしたものです。桜の季節に開催されるイベントということもあり、日本文化を象徴する桜が波紋のように広がるイメージを表現しました。

ポスターとパンフレットから始まったAMJのツール制作ですが、年を追うごとにツールの種類が増えていきました。中吊り広告や駅のデジタルサイネージ、チケット、名刺や封筒などのステーショナリー、Webバナー。スタッフTシャツや、ショッパー、ドリップコーヒーのパッケージなどを制作した年もありました。一貫したビジュアルコンセプトを保ちながら、さまざまな仕様のツールに対応できる汎用性が求められます。また、イベントの認知拡大や外国人観光客の増加により、英語・中国語・フランス語など多言語で展開するツールも増えてきています。




イベント開始から7年。知名度が上がり、固定客もついて来ました。さらに集客力を高め、新しい層にもアプローチするため、毎年さまざまな企画が用意されています。ツールの制作に関しても、ビジュアルそのものの仕上がりだけを追求するのではなく、その年ごとのイベントの開催背景や集客戦略を踏まえたご提案が必要になってきました。
2019年は、会場外にて完全公開で開催される無料公演を増やしたり、15歳以下は無料で鑑賞できる「U15無料制度」など、多くの方に気軽に参加してもらえるよう新たな企画が打たれた年です。これに合わせ、各種ツールに加えて垂れ幕や案内パネルなどの会場装飾にも力を入れたところ、例年以上に来場者数の多い年となりました。