OKR運用で組織を強くする《2》1on1で自発性とエンゲージメント向上│インナーブランディングノウハウ
前回の記事(OKR運用で組織を強くする《1》経営理念が浸透する仕組み)では、OKRを取り入れることで業務の進捗確認・目標管理と並行して「経営理念の浸透」が図れること、それがブランド化のための取り組み「インナーブランディング」に効果的であることをお伝えしました。
これに加えてもう1点、インナーブランディングの観点からOKRをおすすめする理由があります。
強いブランドに欠かせない、自発的でエンゲージメントの高い社員
経営者の方からよく伺うお悩みです。「自分で考えて動く社員が増えて欲しい」
「会社の方針を理解して、同じモチベーションで動いて欲しい」
多くの経営者が社員に「自分で考えて動くこと」、つまり自発的であって欲しいと考えています。また同時にモチベーションも求めています。ここでポイントとなるのが、「会社の方針を理解し」という点です。
モチベーションは、一般的に「動機」と言い換えられたりします。人が行動を起こす時に必要なもので、きっかけとなるエネルギーのようなものと捉えることができます。 ただし、モチベーションが単に「高い」だけでは、目標は達成されません。個人のモチベーションが高く、かつそれが「会社の目指すものと同じ方向」に向けて発揮されることが重要です。
つまり、上記の経営者のお悩みにある社員のモチベーションとは、個人と会社の関係性のことを指しています。これが近年よく聞かれる「従業員エンゲージメント」。社員が組織に対して愛着や誇り、帰属意識を持っており、そこに貢献したいと思う気持ちがあること、などと定義されています。
経営者が求める、自発的でエンゲージメントの高い社員。 採用難の中、このような人材を新たに探し、採用するのは簡単ではありません。まずは、今いる社員の自発性とエンゲージメントを高めることが先決です。
そのために役立つ手法として、OKRをおすすめします。 前回の記事でOKRの進捗確認は週1回が基本、とご紹介しました。OKRを取り入れる企業の多くが、ここで「1on1ミーティング」を導入しています。
1on1ミーティングで自発性を高める
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に行う面談のことです。シリコンバレーの有名企業から始まり、日本ではヤフー株式会社が導入したことで注目されるようになりました。面談というと、人事考課などの評価のための場がイメージされやすいですが、1on1はそうではありません。これまでのミーティングと異なり、「部下のための場」として実施されます。部下が自身の経験や状況を振り返り、気付き、そこから学びを得て次に活かす。その繰り返しで成長することを目的とし、上司はそれをサポートする役割に徹します。
上司が行うのは部下の成長支援、具体的には「コーチング」です。指示や答えを一方的に伝えるのではなく、部下の意見に傾聴し、その中からやり方や答えを引き出し、次へ向けた自発的な行動を促すようにします。
上司が答えを教える「ティーチング」の方が、早く確実に成果を上げられるかもしれませんが、教えてもらえる環境に慣れた部下は「指示待ち」の姿勢になりがちです。部下が自立し、自発的に仕事に取り組むようになってもらうためには、1on1ミーティングで行うコーチングが効果的です。
OKR+1on1ミーティングで従業員エンゲージメントを高める
OKR運用の中で1on1ミーティングを導入することで、部下の自発性を高めるだけでなく、社員個人と会社の関係性も構築することができます。OKRは、設定も進捗確認も対話に基づいて進められます。上から一方的に降ろされるのではなく、自分が参加して決めるので、「会社vs個人」という対立する2つのものではなく、一体の関係性としてスタートすることができます。
また、全員の方向性を揃えながら進めるので、個人が目指すところと会社の目的が常に紐付いています。自分の成長と会社への貢献が一致した状態となり、やりがいを感じながら仕事に取り組むことができます。
OKR運用を続けていくことで、個人と組織全体にこのような変化が現れます。
・組織全体で共有され、可視化されるので、不信感が取り除かれる
・自分の取り組み方や考え方をきちんと見て評価されているという信頼感がある
・自分が日々やることと会社のビジョンがつながるので、業務に納得感を持てる
・会社のOKR達成に向けて取り組むのと同時に自分も成長できる
・縦(上司と部下)や横(他のチーム)と連携しながら進めるので一体感が生まれる
1on1ミーティングでやることはOKRの進捗確認ですが、上司が部下から報告を受けるためではありません。部下の問題解決をサポートし、成長を支援するのが目的です。
そのために上司は、次のことを心がける必要があります。 ・部下に十分に話してもらえる場(環境・雰囲気)を用意する ・部下の話の途中で自分の意見を挟まないようにする ・部下が自分で考え、次の行動を決められるよう促す
単純なことのようですが、実際にやってみると案外難しいと感じる方が多いものです。そもそも面談のような場が苦手という人や、どうしても気の合わない相手と組まなければならないというケースもあるでしょう。 その場合、「ストレングスファインダー」を併せて活用することでコミュニケーションのハードルを下げることができます。次の記事で詳しくご紹介します。
次の記事へ >> OKR運用で組織を強くする《3》ストレングスファインダー併用でさらに効果的│ブランディングノウハウ:Inner Branding
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