CASE STUDY
[  新規事業開発ブランディング  ]
「にいがた」のロマンを地域ブランドへ。異業種連携で雪国の新たな価値を創造。

「にいがた」のロマンを地域ブランドへ。

異業種連携で、雪国の新たな価値を創造。

 

天然雪を活用する食品保存庫「雪室」を使用した特産品の統一ブランド「越後雪室屋」。  「雪室」とは、雪国に古くから伝わる貯蔵方法で、室内の温度を低温・高湿度に保ち、食べ物を保存・熟成させることでよりおいしくすることができます。

この技術を使って食品加工メーカーや企業が組合となり、越後雪室屋が誕生。現在も、新潟の食文化を広める活動を展開しています。

今回の事例では、弊社がブランド運営・構築・広報業務・事務局業務を担ったブランド立ち上げの経緯と挑戦をご紹介致します。

▲新潟県上越にある雪室施設。夏場になっても雪室の中は一定の温度に保たれる。電気を使用しないエコロジーな面も注目されている。

 

スタートの経緯

新潟県では昔より雪室を使用したお米やお酒などの食品が数多く販売されていました。しかし、各社がそれぞれ独自で雪室商品を開発しており、雪室の知名度はそれほど知られていない状態でした。

「このバラエティ豊かな雪室商品の数々を、「オール新潟」でひとつのブランドとして統括することで『雪国新潟』の魅力を発信できるのでは?」と考え、越後雪室屋のブランド発足がスタート。当初、弊社も含めた新潟市内の4社が発足主要メンバーとなり、越後雪室屋「準備委員会」を立ち上げました。

その後、上越安塚の雪だるま財団と連携して参加企業を増やし、2011年に「越後雪室屋」ブランドが正式に誕生しました。

現在では、新潟県内の25社の味と品質にこだわる数々の食品メーカーや、ブランディング、流通業者、中小企業診断士や協力団体が集まって、事業協同組合として活動しています。

越後雪室屋では、毎月1回「雪室理事会」を開いており、商品の認可、今後の指針に関わる全てのことを話し合う場を設けています。理事会の初開催が2010年9月に行われ、そこから2,3ヶ月かけて、ブランド運営の目的を参加企業でしっかり話し合い、共通の指針を生み出していきました。

その後ネーミングについて理事会で検討し、新潟の古来の呼び名「越後」を冠のもと、シンプルに呼びやすい名称にしようという共通の想いで、「越後雪室屋」の名称に決定しました。その後、ロゴマークを策定。参加企業各社の社員投票を行い決定しました。

2012年に「にいがた雪室ブランド事業協同組合」として事務局が設立。

パッケージやリーフレット、ビジュアルイメージに関わるデザインの全般、マーケティング、商品開発を進行。展示会やイベントにも出展し、メディアに取り上げられたりするなど、広報・営業につながる活動も欠かさず行い、現状の活動の原型が出来上がりました。

行った活動

  • 団体構築・運営
  • 理念・ビジョンの作成(CI)
  • ロゴ・ブランドデザイン(VI)の作成
  • 商品開発・デザイン
  • マーケティング・広報実行
  • セールス方法作成・実行
  • 異業種連携の推進・実行

BEFORE

  1. デザインの力が生かされた地域ブランドの立ち上げの激戦時代。価値を高めるためのブランドコンセプト設定が必須。
  2. 前例のないブランド構築をスタート。にいがたの「雪」に新たな価値を見出したい!
  3. 新たなブランド立ち上げに際し、インパクトがありつつ、商品の上質感を体現したプロモーションがしたい!

AFTER

  1. 雪室理事会で、組合全体で意見・情報交換。各企業、商品開発・営業・広報面でイノベーションを起こす。
  2. 天然雪をエネルギー資源として活用し、企業誘致、観光誘致も発生している。新潟地域や、中小企業を巻き込んだどこにもない全く新しいブランドとして誕生した。
  3. ネーミングにもしっかりとブランドのストーリーを感じさせるネーミングの設定を行う。クオリティーの高さ・雪室屋らしさを追求し、プレミアム感を表現したロゴや商品展開を考案。今後の展開がしやすいロゴマークとその他ツールを制作を行った。

 

組合メンバーが揃う雪室理事会で、アイデアをブラッシュアップ。すべては雪室屋の価値を高める為に。

異業種が連携して組合になった雪室屋は、主に、広報・営業戦略・イベントの開催・アイデア共有その他の展開を行う際、『雪室理事会』にて議題を上げることになっています。

組合の中では各社様々な業種の人が多く、イベントの情報などを交換する場として活用されていました。

弊社代表の関本はにいがた雪室ブランド事業協同組合事務局長・ブランディングディレクターとして、理事会の方向性を定めるハンドリングの役割を担いました。

さらに、理事会は新商品の発表の場としても活用されています。その場で出されたものに対して、雪室の商品としてふさわしいかを全員が厳しい目線で審査し、情熱を持って商品開発に励んでいます。

一つひとつの選択が、雪室屋ブランドのクオリティーを高め、発展させているという信念を、組合の全メンバーが共有している点は他ブランドにはない、越後雪室屋の強みとなっています。

 

▲雪室理事会の様子。開発は常にトライ・アンド・エラー、それに屈しない情熱的な方々がそろったチーム。

 

組合の皆とのつながりを意識した、「新潟」らしいロゴマーク。

一番の特徴として「雪室に入れて熟成させることで他とは違う付加価値が生まれる」という雪室屋ならではの特徴を活かしました。

昔ながらの伝統貯蔵技術と言われる雪室のクラシカルな要素を和風な筆文字で表し、雪の結晶のマークで組合のつながりや団結力、個性、優しさなどを連想するロゴマークを制作しました。

また、英字表記を取り入れることで、グローバルを意識し、海外の方やインバウンドの方に向けても興味を持ってもらえるようにしました。

▲越後雪室屋のロゴマーク。カラフルな雪の結晶と筆文字が印象的。 それぞれの色が組合の一人ひとりを表している。海外の方にも目に留まるように英字表記も入れたのもポイント。

 

▲縦組みのロゴマークとネイビーが下地になったロゴマーク。パッケージの仕様やデザインにより、使い分ける。

 

新商品が生まれるごとに、「雪室屋ブランド」を訴求するパッケージデザインを制作。

全商品共通で入る越後雪室屋のロゴマーク、ブランドコンセプトカラーであるネイビーと白を基調に構成されたパッケージは、高級感を意識して制作しています。商品自体の上質感や、百貨店の棚に並ぶ商品の特別感を体現するデザインを重視しています。

商品に対するイメージ作りは、今後の商品の売れ行きに関わるとても重要なことなので、デザイン制作は徹底して行います。

新商品が開発される段階で、生産者の方や、商品販売に関わる方との綿密なヒアリングを行い、商品の強みや打ち出したいポイントを明確にした上で、デザイン制作を行います。

味や品質はもちろん、パッケージの高級感から、ギフトとしても喜ばれる商品として、今後も新たな商品を生み出し続けています。

▲どれも商品開発を繰り返し、誕生した越後雪室屋の商品。上品なパッケージが多く、お中元・お歳暮などのギフトに選ばれている。

 

▲越後雪室屋商品レパートリー。現在に至るまで、これだけたくさんの商品展開を生み出すことができたのは、組合同士の団結力があったからこそ。

 

▲瓶詰めされた瓶にラベルを貼るだけで終わらず、より「越後雪室屋らしさ」やその商品らしさを引き出せるのか検証しながらデザインを制作している。

 

▲雪室抹茶のお菓子はシリーズで商品開発されるほど人気の商品。県内の駅や道の駅、空港などでも販売される。

 

▲越後雪室屋の始まりの商品となった雪室珈琲と贈答用のパッケージ。越後雪室屋の看板商品。

 

 

新潟を飛び出し、全国各地・海外へ越後雪室屋をPR。

広報・営業戦略の効果が顕著に現れたのは、2012年に行われたフーデックスです。

震災の後すぐに行われた食の展示会だったので、新潟らしい「雪と食」という組み合わせ、そして自然の力を使った貯蔵方法がエコロジーだと注目を集めました。

メディアの取材依頼も殺到し、地元はもちろん、他県からの問い合わせが飛躍的にアップ。そして2013年、事業協同組合として設立後、設立パーティーを開催。

バイヤーに向けた注目の的となるイベントだったので、当日プログラムの練り合わせから、講演の内容、試食に出すメニューまで綿密に考案。イベント後、大手百貨店のバイヤーからお取引の依頼をたくさん頂きました。

現在、越後雪室屋の活動は、新潟から関東首都圏へ広がっています。

地方の大きな展示会やイベントなどにも出展。近年では、香港やシンガポールなどの海外にも活躍の場を拡げています。海外では、日本とは環境も文化も全く異なるので、PR面に関して課題も多く見えてきました。

また、展示会では主に、次シーズンに向けた新商品のPR、通年商品の展示をする場として活用しています。

ブース内では、訪れた人の記憶に残るような仕掛けが施されたブース作りを毎回心がけています。 商品を並べるだけでなく、垂れ幕やオリジナルのはっぴなど、ブースの空間全てで「越後雪室屋ブランドの世界観」を表現。同時に、ブースに立つ人の士気を高める効果も狙っています。

 

▲大きな展示会やイベントでの越後雪室屋のブースの様子。越後雪室屋の表現したい世界観をうまくアピールしている。

 

▲展示会でのブースの様子。ただテーブルに陳列するだけでなく、腰巻きをつける工夫や、あえて高さを出して配置し、バイヤーの視線を誘導することなどにも工夫を凝らしている。

 

越後雪室屋の商品が安定して売れるようになった頃、各社大手のメディアや、地元のテレビ、雑誌などにも取り上げられ、全国各地から注目が集まる機会が増えました。今では、新商品の開発や雪室屋への新規加入希望者が増加しています。

また、他県の食品を雪室に『留学』させたり、都内のホテルやレストランでも雪室熟成肉が取り扱われ、熟成肉ブームをもたらすなど、商品の良さ、ブランドの価値が広まるきっかけとなりました。

 

▲新潟という土地を活かした技術と、時代とともに誕生する新たな「食」文化にスポットライトが当たる特集が『ガイアの夜明け』で組まれました。

 

得られた成果

越後雪室屋の活動開始から9年経ち、売上は毎年連続140%以上の伸びを継続し、販路は新潟県内から、首都圏・関西・九州へと広がりを見せています。

さらに、熟成肉ブームが来ていることから、雪室熟成肉がシンガポール・香港・NYなどで認められ、一流ホテル・レストランで採用され、「越後雪室屋」の価値が広まっています。

また、「中小企業庁 がんばる中小企業300社」や「イノベーションネットアワード 農林水産大臣賞」「にいがた産業創造機構〈IDSデザインコンペティション2012〉審査員特別賞」など、数多くのアワードで選出・入選しています。

今後の展開としては、継続的な新商品の開発はもちろん、越後雪室屋のさらなる飛躍を視野に入れ、株式会社化に向けての活動や店舗開発など、「雪国ならでは」のビジネスを展開していきます。

にいがた産業創造機構〈IDSデザインコンペティション2012〉審査員特別賞を獲得した越後雪室屋のパッケージなど、こちらに多数掲載!

お客様の声
雪室食品の統一ブランドの設立と販売のために準備委員会が発足された当初から、運営の企画・実行を担ってもらっています。ロゴやパッケージも人の目を惹きつける素晴らしいデザインで展開出来ており、「おしゃれ・上品・高級感がある」などお客様の反応も良好です。
にいがた雪室ブランド事業協同組合 副理事長 株式会社ウオショク 代表取締役 宇尾野 隆 様
<ブランド情報>
にいがた雪室ブランド事業協同組合 事務局
〒950-0943 新潟県新潟市中央区女池神明3−4−9
越後雪室屋ブランドサイト  http://www.yukimuroya.jp/

※記事内容は取材当時のものです
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